世界名作童話ソーサリアン(ジャクソン番外編)
消えた王様(アンデルセン編I)
異国の仕立て屋によって作られた、誰の目にも見えぬが肌触りも着心地も良い衣装、に身を包んだ王様。その姿は連日薄ぼんやりしてきたかと思うといつしか消えてしまった。
王様はどこへ行ってしまったのか?
失踪、誘拐、あらゆる面で探索する事となった。
[設問] 調査の結果、 近隣諸国でも王族・貴族の失踪事件が起こっている事が判明した。 その犯人と目的を、 また必要ならば問題を解決するためのアイテムも考えなさい(20点)
回答案(リオ執筆)
※本シナリオでは、パーティに<悪魔祓い>が必要です。
ソーサリアンは、不思議な衣装によって、今まさに姿が消えかかっているという西の領主ダーラン伯爵の城に赴く。ダーランの家来たちの話を聞いていくと、以下のようなことが判明した。
- ダーランは近年執務に疲れて悩んでいたこと
- 仕立て屋なるものは現れなかったこと。<衣>だけがいつのまにか姿を見せていた
- 他の事件も調べたが、仕立て屋の話は噂にすぎないようだ
- 衣を脱がせようとしても、衣がヌルヌルと動いて近寄ることができない
パーティにいた<悪魔祓い>がダーランを診たところ、どうやら<衣>は下級妖精の一種であるようだ。日常の執政に嫌気がさした王族/貴族がふと日常を放り出したいと思った心の隙間に、妖精が入り込んでいるのだ。妖精に憑かれた人間は、次第と妖精界の側に身体と心を引きずられてゆく。そして、いつか妖精界のものとなってしまうのだ。
精霊たちを追い払うには、満月の夜にだけ咲くという<月の百合>が必要だという。また、妖精を引き寄せるならば、新月の夜にだけ咲くという<影月の百合>を入手しても良い。
<影月の百合>だけを入手した場合は、衣はソーサリアンたちに憑りつき、妖精界に引きずり込まれてしまう(Game Over)。
<月の百合>だけを入手した場合は、衣は霧散&ダーラン伯爵は救われて、一応、ミッション終了。報酬をGet。
<月の百合><影月の百合>両方を入手した場合、ソーサリアンたちは<月の百合>を執事に預けた上で、<影月の百合>を持ってダーランのもとへ。
ダーランに憑りついた衣(妖精たち)は、早速、ソーサリアンたちに纏わりついてくる。同時に、これまで見えなかった妖精界の扉が見えてくる。
しかし、この状態で意識を保てるのは、せいぜい2日程度。その間に、妖精界に入り込んでしまった者たちから衣を取り払い、人間界に連れ帰るのだ。
しかも、妖精界では精霊に危害を加えるのはご法度だ(剣・魔法の利用は禁止。七惑星の理とは別の世界なので、回復魔法等も利用不可)。
彼らと接触しないよう、王/領主を探しださなければならない。
時に隠れ、時に逃げて、あるいは、妖精たちの容赦ない攻撃を避け乍ら、妖精界に迷い込んでしまった王や領主たちを探し、人間界への扉に導いていく。
#助け出した王/領主の人数によって報酬は変動(連れ帰る途中で死亡した場合は報酬マイナス)
すべての王や領主を時間内に助け出したソーサリアンは、人間界へと戻る。
妖精界から体を取り戻したものの、彼らは心を喪ってしまっていた。
心を取り戻すには、臣民たちの王や領主を求める<心>が必要だという。
善政を敷いた者たちはやがて臣民たちの声に反応して心を取り戻していくだろうが、悪政の王たちは再びその体も妖精界に取り込まれていくに違いない。
だが、それらはソーサリアンたちの領分ではないのだ。
回答案2(上様さん執筆)
ソーサリアン一行は早速仕立て屋の後を追う。
次の街で先の仕立て屋を発見し問いつめてみると、自分たちは深くフードをかぶった人物より受けた品を売って儲けを得ているだけで、詳しい事は知らないのだと言う。その人物自体も突如として現れたため素性など知らないのだとも。ただ、消える外套の在庫はまだあると言うので、彼らのアジトへ向かい何か手がかりがないか探す事となった。
家探しすると消える外套は見つかったものの、それ以外は何も見当たらない。
試しに消える外套を身につけると、人の目には見えぬ道が開き、そこより呼ぶ声が聞こえ出す。声のする先へたどり着くと多くの王族・貴族が倒れていた。
調べてみると単に眠っているだけで外傷などは見当たらない。ふと目の先にキラキラしたモノが見えたかと思うと、木々の奥へと消えて行った。怪しく思ったソーサリアンが奥へ進むと先は木々の迷路のようになっている。迷路の先には凶暴な大蛇が住んでいる区画もあるが、必ずしも倒さねばならないわけではない。
迷路を抜け、ようやく広まった場所へ出ると、小妖精(ニンフ的な者)達が集まっていた。
ソーサリアンが話しかけると小妖精は答えた。
「キラキラ美しい物に身を包んだお友達が欲しかったの」
決して悪気があったわけでなかったとの事から、王族達は元の場所へ帰す事を条件に、おとがめはなし、そして友達になってくれる王族を紹介する事に。
ソーサリアン達はそれぞれの国へと通達し、事件は幕を閉じた。
海原からの影(アンデルセン編II)
浜辺で数名の男性の溺死者が。
一命をとりとめた者の話によると、非常に美しい女性からの声に吸い寄せられてしまったとの事。
調査中、口の聞けぬ少女と出会う。彼女に奪われたアイテムを取り戻すべく海中へ追うと声が聞こえた。「姉様達を止めて」と。
[設問] 実は彼女は人魚であり、 王子に恋したばかりに声と引き換えに足を得たのだ。 しかし恋が実らないならその身は泡となり消えてしまう。 その事実を知った姉達は王子を誘うべく魅了の声を響かせていたのだ。 王子を殺せば彼女は救われるのだが… この後のストーリーを考えよ(20点) ※シナリオの性質上、女性限定パーティー、 もしくは、男性キャラにペナルティがあっても良い。 人魚は愛する相手に正体を知られてはいけない、と言う事とする。
回答案(ときのじさん執筆)
※本シナリオでは、パーティに<吟遊詩人>が必要です。
※男性キャラは、人魚の歌声によってHPとMPを含む全能力値が半減します。
海中で聞いた声は、ソーサリアン達の脳裏に直接響き渡る。
美しくも物悲しい、そんな声であった。
口の聞けぬ少女を追いかけて海中へと飛び込んだソーサリアン達は、気が付くと浜辺へと打ち上げられていた。どうやら魔法か何かの力によって追い返されてしまったようだ。
だが、手の中には奪われた筈の<珊瑚の髪飾り>がある。無我夢中で少女から取り返したのだろうか?
――いや、もしかしたらあの少女は、重大なことを伝える為にわざと髪飾りを盗んで、それから返してくれたのかもしれない。
口の聞けぬ少女の言う「姉様達」について、ソーサリアン達は調査を再開した。
そこでソーサリアン達は、浜辺に並ぶ大岩の一つに腰掛けている青年を見つけた。その姿から彼が吟遊詩人であると察するのに時間は掛からなかった。
銀色に輝く竪琴を爪弾く吟遊詩人に声を掛けると、彼は「どうやらお困りのようだね」とソーサリアン達の事情を一瞬にして見抜く。
吟遊詩人はまるで歌うようにして、海中の奥深くに国を築いて暮らす人魚について語り出した。
人魚は人間に姿を見られてはいけないという掟があるということ。
近海にある人魚の国の王には六人の娘がいるということ。
その内の末娘が嵐の日に船から落ちた人間の王子を助けたということ。
末娘が人間の王子に恋心を抱き、美しい声と引き換えに人間の足を得たということ。
しかし、声を失ったことで、王子を助けたのは自分だと言えなくなってしまったということ。
更に不運が重なり、王子が命の恩人を別の娘と勘違いし、その娘との結婚を考えているということ。
末娘と王子との恋が実らなければ、末娘は水の泡となって消えてしまう運命であるということ。
それを阻止せんが為に、海中で彼女の姉達が呪歌を歌っているということ。
「僕が知っていることは、これでおしまいさ」
吟遊詩人は全てを語り終えると、驚いているソーサリアン達を気に掛けた様子もなく、手にしていた銀色の竪琴を差し出した。
「海に入る前にこの竪琴を弾いてごらん。海の守護者の加護で海の中でも息をすることが出来るようになるよ。それに、呪歌の影響も弱まる筈さ。……まあ、男の場合は少し苦労するかもしれないけどね」
どうしてこんなことを知っていて、こんなにも自分達に協力的なのだろうか?
ソーサリアン達が竪琴に手を伸ばすべきか否か、そんなことを悩んでいる間にも、吟遊詩人は説明を続ける。
「難しく考えなくても良いんだよ? 君ならこの竪琴を弾ける筈なんだから。大丈夫、弾き方はその竪琴が教えてくれるさ」
自分の身の上について話すこともせず、吟遊詩人は半ば強引に竪琴を弾ける者に竪琴を渡した。
「君の知りたかったことは解っただろう? あとは君がどのように事件を解決するか。それがたとえどのような結果になっても僕は文句は言わないよ」
ざぁっと突然の風に浜辺の砂が目に入る。ソーサリアン達は堪らず目を閉じてしまった。
――でも、あの子が幸せそうに笑ってくれるなら、僕はそれが一番嬉しいかなぁ――
吟遊詩人の声が耳に、否、脳裏に響く。ソーサリアン達は目を擦り、そして再び目蓋を上げると……そこには誰もいなかった。
そう、そこには『誰』もいなかった。碧く美しい色をした小さな魚一匹以外には。
碧い魚は見たこともないような珍しいものだったが、既に瞳は濁り、息絶えていた。
ソーサリアン達は魚の碧い鱗を見つめながら、あの吟遊詩人の海のような碧い髪を思い出していたのだった。
吟遊詩人から<海神の竪琴>を託されたソーサリアン達は、早速竪琴を使って海中に潜る。
そこでは人間になった妹を死なせまいとする五人の姉達の呪歌が絶え間なく続いていた。
ソーサリアン達は姉達を一人一人説得し、一時的にだが呪歌を止めさせることに成功する。
普通ならば人間の言葉になど耳を貸さない彼女達であったが、ソーサリアン達が「姉様達を助けて」という言葉を聞き、更には<海神の竪琴>を託された者だったからこそ説得に応じたのである。
即ち、口の聞けぬ少女とは彼女達の末の妹のことであり、竪琴の主とは彼女達の末の妹と仲良くしてくれていた小さな小さな友のことだったのだ。
人魚の姉達は涙を流しながらソーサリアン達に呪歌を止める条件を出す。
「貴方達が人間の王子を説得し、私達の妹と結ばせてくだされば、私達は今後一切呪歌を歌わないと約束し、命尽きるまで死者を弔う聖歌を歌い続けましょう。ですが、もし王子が他の娘と結婚してしまった時には、私達は嵐で荒れ狂う海の如く憎しみで怒り狂い、王子を末代まで祟ることになるでしょう」
迷っている猶予などない。ソーサリアン達は彼女達からの要求を呑み、王子一行を乗せて停泊している船へと急いだ。
海面から上がって浜辺に辿り着いた時、口の聞けぬ少女と再会する。
ソーサリアン達が少女に事情を説明すると、彼女は大切な友の死を悼み、姉達の深い愛情に涙を流した。
そんな彼女にソーサリアン達が<珊瑚の髪飾り>を返し、これから王子を説得しに行くのだと説明すると、少女が同行を願い出る。
絶対に王子を説得してみせると決意を固め、口の聞けぬ少女と共にソーサリアン達は王子の待つ部屋へと駆け出した。
王子の部屋には王子だけではなく、王子を助けたという娘もいた。
ソーサリアン達は、<珊瑚の髪飾り>をつけた少女を王子に見てもらいながら、「貴方様が浜辺で意識を失う寸前に見たのは、この子ではないのでしょうか?」と訊ねる。
すると王子は頭を抱えて苦しみ出し、その内に気を失って倒れてしまった。
王子の様子に気を取られていたソーサリアン達だったが、王子の後ろに立っていた娘が不気味な笑みを浮かべていることに気付いた時には、ソーサリアン達と口の聞けぬ少女、そして娘だけが真っ暗な空間の中にいたのだった。
そこで娘は本性を現す。可憐な娘の背は見る見るうちに縮んで丸まり、顔も手も皺くちゃで枯れた枝のようになり、洋服は黒くて長いローブに変わってしまったのだ。
「お前達が来なければ間抜けな坊ちゃんを騙くらかして国も人も思いのままに操れたというに、よくもこの常闇の魔女様の邪魔してくれたなぁ。じゃが、お前達を此処で始末すれば全てはまぁるく納まるからのぅ。どれ、老い先短いお婆の娯楽の為に……死んでもらおうかね!」
常闇の魔女を倒すと全員は元の部屋に戻る。
意識を取り戻した王子の下に口の聞けぬ少女が駆け寄ると、王子は浜辺で助けてくれた少女の顔を思い出したと言い、辛い想いをさせてしまったと少女に謝罪した。
口を聞けぬ少女は首を横に振り、そして王子と口付けを交わしたのだった。
こうして口の聞けぬ少女は王子様と結ばれ、海からは死者を弔う清らかな歌声が聴こえるようになったのでしたとさ。
回答案(上様さん執筆)
頻繁に起こる海難事故を重くみた政府は、自国の調査団だけでなくペンタウァのソーサリアンに依頼をしてきた。そのメンバーにはかの王子も(自国の災害対応のため)含まれていた。
話によると、以前、王子の誕生祭を船上で行っていた日の夜に嵐にあったが無事一命を取りとめたのだと言う。その時に何者かによって岸へ運ばれたような気がするが、朝焼けをバックにしていたためその姿はよく分からなかったが女性だったような気がする、との事。そして、その手には虹色に輝く貝のブローチがにぎられていた。
それから数日後、謎の海難事故が多発するようになった。
ソーサリアンは王子の一件と今回の事故に何かのつながりがあるのでは無いかと思い、ブローチを借り浜辺へと向かう。
浜辺で調査中、何かを訴えているような口のきけぬ少女と出会う。突如、少女がブローチを奪ったかと思うと海中へと飛び込んだ。
慌ててソーサリアンも後を追うと、海中なのに声が聞こえてきた。見ると先ほどの少女であった。
「私の名はシレーナ。先ほどはごめんなさい。しかし、私の声をあなた方に届けるには海中へ来てもらうしか方法が無かったの」
ペンタウァの冒険者であるソーサリアンだからこそ話すと言う内容は、次のような事柄であった。
自分の正体は人魚である事。
嵐の夜に王子を助けたのは自分である事。
その王子に恋いこがれてしまったため声と交換に足を手に入れた事。
しかし、その恋が実らないと体が泡となり消えてしまう事。
この身を不憫に感じた5人の姉達がそれぞれの髪と交換にオリハルコンの短剣を入手。
短剣で王子を殺しその血でシレーナの身は救われる事。
姉達は王子を引き寄せるため魅了の歌声を響かせている事。
王子に真実を話せば解決しそうなものだが、愛した人間には正体は明かせられないらしい。
姉達を説得しようにも聴く耳を持ってくれず、戦闘になってしまうため離脱する羽目に。海中ではこちらの動きはままならないが、人魚達は水の抵抗を受けないかのような動きを見せる。
解決策に思案するソーサリアンは、セレーナに足を、姉達に探検を授けた人魚魔女モルーアに出会う事を試みる。魔女の元へ向かうには海中の危険な地域を通って行かねばならない。
魔女はソーサリアンを邪険な扱いをし、そもそも人魚と人間が一緒になろうとする事自体、賛成できない事だと思っているようだ。
だが、セレーナも姉達も自分の一番の魅力と引き換えに魔法を授かったのだから、お前たちの大事な物と引き換えになら考えてやらないでもない、と。
「まぁ、安い物じゃないからよく考える事だね」と言って帰らされる。
魔女の出して来た条件とは、ソーサリアン全員の若さと今まで培ってきた能力であった(OLDになる上、初期能力値にされ不老不死の場合はそれも失う)。
海辺であらかたの情報を得たソーサリアンは王子の元へ。
しかし、ソーサリアンと入れ違いで王子の率いる一行は浜辺へ向かっていたのだった。慌てて引き返すと、海から魅了の歌声が聞こえてきた。
パーティに男性キャラがいる場合、その能力値に関係なく、能力に制限を受ける。
姉達の歌声に魅せられ兵士の何人かは海へといざなわれていたが、王子は懐から出した短剣で自らの手を傷付け正気を保っていた。そしてソーサリアンに告げる。
「この短剣は先祖より受け継がれる魔力を秘めたる物。これを使うが良い!」
「…ま、まさか…そんな…」
遠くから様子をうかがっていた魔女の声がかすかに聞こえてきた。
それはもう一振りのオリハルコンの短剣であった。
「いや…人魚と人間は結ばれぬ運命なのじゃ。あの者たちを始末するのじゃ!」
その魔女の声により姉達は一斉に襲ってきた。
オリハルコンの短剣の影響でか、海中でも不自由なく動ける上、姉達にダメージも与えていた。全ての人魚を倒した後(殺害したわけではない)、魔女が襲って来たが、短剣がその場を覆い尽くすほど鋭く輝き出す。姉達が正気を取り戻す。
どうやら何かしらの手法で操られていたようだ。
…一瞬の静寂の後、魔女が語り出した。
自身がまだ若かった数百年も前の話。
モルーアも今回のシレーナ同様に難破した王子を助け、その相手にほれてしまったのだった。王子とは良い仲になったものの、寿命の長い人魚と、そうでない人間での恋は不運しか生まないと悟り、モルーアはせめてもと、王子に自分の代わりにと宝である短剣をプレゼントしたのであった。また、このような不幸が訪れないよう人魚界への戒律を制定したのだとも。
シレーナが愛した相手がまさかその時の子孫だったとは…
王子はそっと語る。
言い伝えによると先祖は結婚したものの、亡くなるまでずっと人魚姫の物語を語り継いでおり、自分も親や祖父から語り聞かされていた、と。これがその証拠だと取り出した物は、先祖が大事にしていたと言う人魚をあしらったエンブレムであった。
モルーアの顔からは毒気は消え失せ、ただただ泣き崩れていた。その涙は伝説の通り、真珠となって海中へと落ちて行く(後で海底で拾う事が可能)。
シレーナとその姉達はモルーアに近付いて行く。
モルーアは言う。
「私が間違っていたのかも知れぬな…他人の運命をどうこうしようとするのは…」
そっと懐から小瓶を取り出し、シレーナへと差し出す。
「これを飲めば元通り、美しい声を響かせる事ができるよ。後はお前の好きなようにしな。ただ、どんな結果になろうともそこまでは責任を持てやしないよ」
そして王子に近付きこう話す。
「良い話を聞かせてもらったね。最後にあんたの顔をじっくり見させてもらえないかね?」
王子はその願いを聞き受けモルーアに近付く。再びモルーアは涙を流す。
「ああ…確かにあんたはあの時の王子の子孫だよ…目元や鼻筋がそっくりだよ…」
「その短剣はあげるよ。好きにしな」
そう言い放ち、モルーアはもはや何も言わず、そっと海中へと消えて行った。
ソーサリアンは今回の騒動については解決した事を王子に告げその場を去ることにした。王子からはお礼に短剣を、シレーナからはブローチをプレゼントされる。
シレーナと王子がその後どうなったかはまた別のお話である。
幻影の炎(アンデルセン編III)
祝祭日の近づく冬の日。街角で飛ぶようにマッチが売れていた。
それで火をつけると過去の思い出を蘇らせて見せてくれると言う。皆、幸せに包まれたかのような顔をしているが、よく見るとやつれてもいるようにも。
マッチが怪しいとにらみ捜査をする事に。
[設問] マッチの灯す炎はその利用者の命を代償に輝き幻影を見せていたのだった。 事件の犯人はマッチ売りの少女かその父親か? はたまた第三者がからんでいるのか? 犯人とその動機、そして解決策を考えなさい。 後味は悪くなるが物語はハッピーエンドでなくとも構わない事とする(20点)
回答案(リオ執筆)
「マッチが売れなければ、今日もお父さんに叱られる…」
「温かい食事、あぁ、食べたい…」
そんな少女の恐れと、街の人々への羨望が、いつしかマッチの精霊を呼び出していたのだ。
マッチの精霊に悪意はない。
しかし、優しい少女の助けになればと、少女に魔法のマッチを与えてしまった。
日常ならざる魔法の気にあてられた、少女は知らず、マッチのとりことなってしまった。
マッチに触れて、精霊の存在を知ったソーサリアンたちは、街の人々から魔法のマッチを回収すべく立ち上がるが、マッチに魅せられてしまった人々はなかなかそれを手放そうとしない。あの手この手でなんとかマッチを回収し、最後に少女の家へ。
しかし、少女を苛めに来たと思った精霊たちは、巨大な焔となってソーサリアンに襲い掛かる。
炎の中から次々と現れる幻影の魔法、武器に、苦戦するソーサリアンたち。
しかし、精霊が離れたことで正気を取り戻した少女が、手持ちのマッチをすべて擦ってしまう。
少女の家が燃え上がる。
家が燃え尽きる前に、新たな武器を出せなくなった精霊との最終決戦。
勝利するものの、既に少女を助けることはできず、ソーサリアンたちのみ脱出。
焼け落ちる炎影の中には、父親と楽しく食卓を囲む少女の姿が浮かび、そして、消えた。
皆が温かくなれればそれでよかったのに。
精霊の声とだぶった少女の声が聞こえた気がした。
イラ草のかたびら(アンデルセン編IV)
近隣の王様が結婚した、美しいが全くしゃべらない女性。
彼女は夜な夜な墓地でイラ草を積んではかたびらを編んでいると言う。その様子から側近からは魔女では無いかと囁かれている。
真相究明のためソーサリアン達に依頼がよこされた。
[設問] 調査に出たソーサリアン達は 道中で王冠をかぶった不思議な白鳥達を見かける。 月光を浴びるとたちまち人の姿に。 「私たちの継母こそが魔女なのです。 この呪いを解くため妹ががんばっているのです」。 妹の嫌疑を晴らし、真の魔女を退治する方法を考えなさい(20点) ※シナリオでは以下の制約を課すものとする。 ・白鳥になる呪いをかけられた兄の人数分のかたびらを編むまで 妹は誰とも話してはいけない(人数は任意とする) ・継母が魔女である事をその夫は知らない(知っているのは兄達と妹のみ) ・妹の魔女嫌疑の末、死刑執行が行われる事が決定。 これらの情報も利用する事