はじまりのゼロ SS「五稜郭炎上 - 承:函館燃ゆ」(デュエル編)
[1]スタート地点。榎本武揚の執務室
榎本武揚と向かい合うブリュネ(デュエル)。
「起:旅人彷う」最終シーンより再開。
榎本武揚「さあ、ブリュネ中尉、お茶が冷めてしまう。 乾杯と行こうではないか、我が蝦夷共和国に……!」 その時、扉の外から山口五郎が入ってくる。 山口五郎「………」 榎本「同志山口……? 見てのとおり、先客なのだ。 用向きであれば、あとにしてもらえるとありが……」 山口「あとには、できぬ用だ」
言うなり山口、榎本に走り寄り、鋭い突きを浴びせる!
榎本/デュエル「……!」 山口「……帷子、か」 解説「山口の突きは、鎖帷子で辛うじて防がれたようだ。 しかし、武器を持たない榎本では長く持ちそうもない。 まずはともあれ、榎本を助けろ!」
榎本を守りながら、山口との戦闘開始。
榎本に一定回数以上の攻撃を受けると、ゲームオーバー。
山口の攻撃は、序盤は突きと飛翔しながらのうちおろしのみだが、いずれも攻撃力は高いので回避は必須(盾で受けた場合には、著しく破損率が高まる)。
山口に対して一定以上の攻撃を加えると、山口の動きが止まり、山口の顔の包帯が解けていく……
山口「俺の…――邪魔をするな……!」 解説「包帯の下から出てきたのは………闇、闇、闇。 醜悪な顔ですらない、ぽっかりと吸い込まれるような闇。 茫然とするデュエルの前で、 山口の黒髪が蛇のように四方に伸びていくではないか」 デュエル「……!」
山口から闇そのものが煙のように立ち上る。
また、その髪は四方八方に拡がり、毒蛇となってデュエルに襲い掛かる。
戦闘再開。
蛇は<毒>効果があるため、体に触れる前に剣戟で叩き落とすこと。
ただし、斬り落とすと、小さな蛇が増えていくため、要注意。
ある程度、小さくすることで斃すことができる。
榎本を守りながら、しばらく戦い続けると……
榎本「………!?」 脇から飛翔した毒蛇が噛みつき、榎本倒れる。 解説「いい加減、榎本を守り切れなくなっている。 ここはいったん、榎本を連れて逃れるべきだろう。 <怪我をした榎本>を手に入れた」
山口から逃れるべく、榎本の部屋を出る。
<怪我をした榎本>はアイテム扱い。
[2]夜の五稜郭(前半)
榎本の部屋を出ると、夜(?)の五稜郭。
しかし、辺りの様子は一変しており、壁や床に一面、紫色の血管のようなものが絡みつき、ところどころには獣とも魔物の頭や四肢が蠢いている(触れると小ダメージ)。
窓の外には夜空が見えるが、微妙に薄明りがかったような紫色の空。粉雪が散っているのに星々が瞬く奇妙な光景。赤い稲光が奔る中、砂塵が時折、霧のように上空を行き過ぎる。
解説「五稜郭……なのだろうか? そこは、なに者かがおもての顔(かんばせ)を 拭い落したかのような闇、混沌(カオス)、恐怖――異形の世界!」
扉から山口の髪(蛇)が溢れはじめる。
解説「戸惑っている暇はないようだ。 ここが五稜郭であろうとなかろうと、 まずは安全な場所を探し、移動しなければならない。 <怪我をした榎本>は、敵の攻撃を受けたり、罠にかかったり、 あるいは、一定時間を経過すると、 <弱った榎本>→<死にかけた榎本>→<一握りの砂> へと変化していくぞ。 <一握りの砂>に変わってしまう前に、安全な地まで辿りつけ。 弱ってきた榎本には、 途中で入手できる<マッシュルーム>を与えることで、 状態を回復できる。アイテムリストをチェックしながら進め」
マッシュルームは、紫色の血管の(ようなものの)ところどころに生えている。榎本が<一握りの砂>になった時点でGame Over。
また、五稜郭(異世界)では、魔物が随所に発生するので要注意。魔物に関する詳しい情報は「イース―銀の灯が消えた国」設定資料(http://bit.ly/GF8Bwa)を参照。
- ウヌガン(霊)
- ティアルマス(水)
- ゲラルディ(地)
- ナブロウ(地)
戦闘にかかずらって長く一箇所に留まっていると、毒蛇が集まり始めるので、常に動いていなければならない。また、集まった毒蛇は、時折、魔物を喰らうこともある。
※これを利用すれば、集まってきた魔物を一斉に斃し、離脱することも可能。ただし、自分も危険なので要注意。
解説「山口は、魔物をも貪り喰らっているようだ。 骨を砕き、咀嚼する鈍く湿った音が、屋内に低く響いた」
五稜郭(異世界)全般
五稜郭のマップそのものは、基本的には平常時と変わらない。ただし、随所では山口の髪(蛇)が溢れ出し、道を塞ぐ。髪の出る場所は一定時間おきに変わり、マップ構造も動的に変化する。
移動して暫くすると、屋内にどこからともなく鐘が鳴り響く。
解説「鐘はひとつ鳴って、薄闇に殷々と染みわたるように、消えた。 なにかの合図だろうか?」
榎本の部屋脇の通路
平常だった五稜郭では閉じていた扉が開いている。
中に入ると、以下のメッセージが表示され、先には進めない
解説「闇――しかし、虚無ではない、 確かに<なにかがいる>と思わせる、妖(あやかし)を孕んだ闇。 デュエルはぶるっと身を震わせ、その場を後にした」
五稜郭の各部屋(特記されている部屋以外)
以前は人がいた部屋には、誰もいなくなっている。
解説「誰もいない……ここは、本当に五稜郭なのだろうか」
もたもたしていると、毒蛇が侵入してきて出られなくなってしまうので、要注意。
(元)中島三郎助の部屋
奥に兵士が倒れている。
兵士「確かに、確かに……五稜郭から逃れたはずだったのに―― ここはいったい……どこなのだ…… 俺は、俺は……死にたくない――!」 解説「喉が厭な音を立てて、兵士は息絶えた」
(元)伊庭八郎の部屋
血まみれの兵士が抜刀して襲い掛かってくる!
デュエル「………!」 兵士「$%&@¥……!」 解説「意味をなさない言葉を発している。 正気を失っているようだ。 身を護るには戦うしかないのだろうか」 <狂った兵士>との戦闘開始。勝利すると…… 解説「斃れた兵士の目に、僅かに正気の、 同時に恐怖の光が戻ったように見える」 兵士「お。前……逃げろ…――と、塔のか…――ガァッ!?」 その時、山口の髪(蛇)が波濤のように雪崩れ込んで、兵士の身体を貫く! 兵士は血を吐きながら絶命。 解説「兵士は……もう手遅れだ。 毒蛇の波濤に巻き込まれないうちに、血路を切り開け」 山口「え…の、もと……」
入り口が塞がれているので、周囲から波状に迫る蛇を避けながら、入り口の蛇塊を取り除かなければならない。攻撃を加えると、入り口の蛇塊は薄くなっていくが、時間が経つと、また元に戻っていく。周囲の蛇を避けるのと、入り口の蛇塊を攻撃するのとをバランスよく繰り返すこと。
あまりに時間がかかると、山口が実体化して攻撃を加えてくる。
更に時間を消費すると、部屋の中が蛇で埋め尽くされ、Game Over。
入り口の蛇塊を除去して、部屋の外にでると……
先ほどと同じ鐘の音が、屋内に再び鳴り響く。
解説「また鐘の音だ。いったい、なんの合図なのだろう」
ブリュネ(デュエル)の私室
見覚えのない老人が、部屋の隅に佇んでいる。
解説「翁とも媼とも知れぬ、 深々と刻まれた皺と白髪は年齢すらも無意味と思わせる、 それは老人であった」 ▲1度目の会話 老人「ここは、巨神の眠る土地。 悠久なる神の墓標。 混沌と秩序の狭間に位置するこの土地には、 <力>が集うだけではない。 ふとなんらかの拍子に、光と闇、秩序と混沌が反転してしまう。 世界が、裏返ってしまう。 ここはそう……巨神に最も近しい領域よ」 ▲2度目の会話 (発生条件)2度目の鐘の音を聞いていること 老人「儂の名、だと? そのようなものを訊いてどうするね。 ふむ……呼び名に困ると。 永く呼ぶ者もおらねば、儂は儂であれば良いでな…… さて、確か……そう、ゴイルとか言ったか。 儂の名、否、それとも、部族の名であったか」
[3]夜の五稜郭(後半)
山口の蛇が集まる速度が早まる。
ブリュネ(デュエル)の私室
(発生条件)ゴイルの名前を聞いていること&3度目の鐘の音を聞いていること
4度目の鐘の音が響き渡る。
ゴイル「ラドの塔の七点鐘は、処刑の合図。 贄どもがまた、巨神に捧げられるのだろう……」 デュエル「贄……?」 ゴイル「そのようなことをせずとも、巨神は既に目醒めおるに…… どうにも待ちきれぬ者どもがおる」
榎本の部屋脇の通路
(発生条件)4度目の鐘の音を訊いていること
先ほどは暗かった通路のところどころに、仄暗い鬼火のようなものが点灯している。
依然として毒蛇はそちこちから現れ、血管(と魔物の四肢)のようなものもそちこちに絡み合っているので、それらにダメージを受けないように進むこと。
解説「鬼火は<ヴィイタ>の傾きに反応するようだ。 足元にも気を付けつつ、先も照らしながら、気を付けて進め」
[4]尖塔の麓
通路を抜けると、尖塔の麓。その時、再び鐘の音が鳴り響く(5度目)。
解説「また、鐘の音だ。尖塔の頂上から響いているのだろうか」
その時、畝っていた蛇たちが実体化し、中ボス<山口五郎(レッドドラゴン形態)>戦闘開始。敵詳細は、「脱出」設定資料(http://bit.ly/GF8yQW)を参照のこと。
レッドドラゴンそのものには剣での直接攻撃は効かない。よって、画面上にある弩(おおゆみ)によって、ドラゴンの身体から突き出ている山口の上半身(のようなもの)を斃す必要がある。
弩は、ソーサリアンで弩を選択し、あとはタッチ操作でパチンコをはじく要領で発射できる。山口の上半身は頭、背中、腹の3か所にあるので、これをすべて倒すと、レッドドラゴンは形を保てずに、もとの蛇に戻って四散してしまう。
[5]尖塔の外壁
レッドドラゴンを斃すと、尖塔外壁の螺旋階段から登攀が可能に。ただし、途中では足場が抜けている箇所もあるので、要注意(落下時は大ダメージ)。また、空からはヴァジェリオン(風)が襲い掛かる。
外壁中盤
塔中盤からは雨が降りはじめ、足元が滑りやすくなる。
解説「異世界にも雨は降るようだ。 まとわりつくような小雨はぬるぬると血のようにぬめり、 足元が安定しない。足場を踏み外さないよう、気を付けろ!」
外壁後半
外壁後半では、毒蛇の集まる速度が、更に一段階早くなる。
6番目の鐘が鳴る。
[6]尖塔(小部屋)
毒蛇を避けながら、塔の頂上まで行き着くと、天井の高い小部屋へ。
天井には鐘が吊るされ、その両脇には五稜郭の兵士たちが吊るされている。
外の雨は強まり、尖塔の中にまで吹き込んでいる。
兵士I「ここは…!ここは、どこだ……!」 兵士II「落ち延びる者は見逃す、そう、確かに、約束したではないか…!」 兵士III「★!¥%&$」 兵士IV「(死んだように首を項垂れている。死んでいるのだろうか)」 兵士V「助け、助けてくれ……!」
その時、背後の扉から毒蛇が群がりはじめ、中ボス<山口五郎(ピクティモス第2形態)>戦闘開始。敵詳細は、「イース―銀の灯が消えた国」設定資料(http://bit.ly/GF8Bwa)を参照のこと。榎本を背負っているため、ダメージを受けないよう、防戦主体の戦闘ながら、直接、剣での攻撃が可能。
山口「エ、ノモト……ニガ、サ、ヌ……!」
山口に一定以上、ダメージを与えると、更に、中ボス<怒りの精霊>(風)が天空から舞い降りて、天井から吊られた兵士たちの首を、順にゆっくりと狩っていく。<怒りの精霊>は、特にデュエルに対して攻撃は仕掛けてこない。
山口「……――!!!!」 解説「新手の魔物だ! 兵士たちを守ろうにも、両者を同時に相手にすることはできない。 まずは、目の前の山口を斃すのが先決だ」
山口に勝利すると、山口咆哮!
<怒りの精霊>は、最後の首を狩り終える。
怒りの精霊「チ、カナシミ、ニクシミ…… スベテ ハ キョシン ノ カテ…… センラン ノ ケツデイ、マ ノ キョウエン…… フリソソゲ、ユエツ ノ アメ ヨ………」
ひときわ大きく、7回目の鐘の音が鳴り響く。
精霊が哄笑し、篠突く雨がどす黒い血の雨に変わり……滝のように、画面を塗りつぶして、フェードアウト。山口、再度咆哮。
[7]画面は冒頭の場面に戻って、再び榎本の部屋(夜)
榎本/大鳥が立っている。
部屋は山口が現れる前の状態で、山口もいない。
デュエル「……山口――!」 解説「寝ていた……のだろうか。 苦笑した榎本と大鳥が、デュエルを見下ろしている」 榎本「同士山口が……どうかしたのかね」 大鳥「シエスタ……はフランスの習慣だったろうか、ブリュネ中尉?」 榎本「大鳥くん、ブリュネ中尉はお疲れなのだろう。 いや、長居を強いてしまって申し訳ないかぎりだ。 自室に戻って、まずは戦の疲れを癒されると良い。 ……なに、ブリュネ中尉が眠りこけている間に陥ちるほど、 五稜郭も脆くはない。 だろう、大鳥くん?」 大鳥「いかにも」 解説「あの、<魔>そのものの五稜郭は、夢だったのだろうか。 釈然としない心持ちのまま、デュエルは榎本の部屋をあとにした」
[8]ブリュネ中尉の部屋(夜)
画面変わって、ブリュネ中尉の部屋。
扉を調べると…… 解説「もう夜も遅い。 出歩くのは明日にした方が良さそうだ」 机の上の写真を調べると……(1〜2度目) 解説「机の上には、幼い女の子の写真が飾られている。 『レーシャ』と書かれている」 机の上の写真を調べると……(3度目) 解説「机の上には、幼い女の子の写真が飾られている。 と、写真の中の女の子がウィンクした……!? そして、次の瞬間、 写真の中の女の子がしわがれた声を発するではないか」 女の子「呵々…なに、驚くことはあるまい。 儂、じゃよ」 解説「エティス、のようだ。 わかっては見ても、幼女の口から老人の殷々とした声が 漏れ出るのは、気持ちの良いものではない」 エティス「ぬしの気配が数刻ほど消えたように思えたが…… はて、気のせいかの」 エティス「にしても、五稜郭。 得体の知れぬ気配が漂っておることよ。 瘴気――なれば、馴染みの気配じゃ。 なれど、そうではない。 否……瘴気は確かに在る。 が、それだけではない古めかした薫りはなにか…… そして、<魔>でありながら、<魔>ではなきもの…… 異彩の気が渦巻きすぎておるのだ」 エティス「<魔>の巣窟……? とも違うの、すべてのものが交わる土地。 世界の要を司る土地。 あまたある世界の接点のひとつ。 ……曖昧模糊な呟きなど、糞の役にも立たぬとな。 まあまあ、そうは言うてくれるな。 何度も言うておろう。 魔導士とても万能ではないのだ。 というよりも、ただ人と異なる側面が見えておる以外は ただ人となんら変わらぬ――人の仔よ。 儂の言葉を世迷い言と聞き流すも良し。 心に留めておくも良し。 それを決めるのは、ぬしの自由じゃて」 更に話しかけると…… エティス「世界とはなにか、だと? 無知なる者こそ、難解な問いをしおるわ。 … …… ……… ………… まあ、良い。 そもそも、世界とは、 ぬしらの目に見えるものがすべてではないのだよ。 七惑星の神々が住まう秩序の世界<天上界>、 儂ら肉体を持つ人の仔らが住まう<物質界>、 そして、 原初となる混沌の渦巻く<暗黒界>。 それらは互いにバランスを取りながら、 共存してきた世界の要素でもあったのだ。 ペンタウァは、 そんな混沌と七惑星神の加護が交差する <物質界>の要の土地でもあった…… ペンタウァは要である、それがゆえに未曾有に栄え、 それゆえに滅びたのだよ……」 解説「それきりエティスは黙してしまった。瞑想に入ってしまったようだ」 エティスとの会話を終えた後、ベッドを調べると…… 解説「夜も更けてきたようだ。眠って、すべては明日からだ」 エティス「善哉。 <魔>も、一晩の安らぎくらいは許してくれようでな」 解説「密やかな老人の声が聞こえた気がするより早く、 デュエルは眠りに就いた。 しかし、彼らの予想、あるいは望みに反して、 その時既に、新政府軍は函館の外縁部まで迫っていた。 函館陥落まで、あと2日」
画面フェードアウト。