新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

奪われし我が友よ(冒険の書&シナリオデータ)

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プロローグ

 ペンタウァの一角に立つこじんまりとした酒場は、いつもならばソーサリアン達の陽気な声が響き、安酒の匂いが漂う、騒がしくも心躍る場所であった。

 しかし、今この場に黙って座るソーサリアン達は皆、暗い表情のままいつもの安酒を喉に通すだけ。静まり返った酒場には、活気など何処にもなかった。

 そこに突然、キィ……という音を響かせ、酒場のボロボロになった木の扉が開いた。

 酒を呷るソーサリアンの誰一人として来客を歓迎する様子も、注目する様子も見せはしないが、酒場の店主だけは来客の方に顔を向けた。

「いらっしゃい」――そう店主が声を掛けたのは、内情を知らずに店の戸を開けてしまった事に戸惑いの表情を浮かべる青年剣士だった。

 店主の挨拶に引き返す事も出来なくなった若き剣士はごくりと唾を飲み込むと、意を決してそろりそろりとした足取りで歩き、店主前のカウンター席に座る。

 青年剣士は周囲を注意深く見回した後、店主に向けて「コレは一体どうしたんだい?」と声を潜めて問い掛けた。

 くたびれた顔の店主はグラスを拭きながら「なんだ、アンタ知らないのかい?」と同じく声を潜めて返すと、剣士は「旅から帰ったばかりでね」と苦笑する。

 その返答に店主はなるほどと頷くと、グラスを拭く手を止め、眉間に深い皺を刻んだ真剣な面持ちで口を開いた。

「ここ半年くらいの話なんだが、『とある場所』に行ったソーサリアンのことごとくが仲間を失って帰ってくるんだよ」

 あまりにも店主が真剣なものだから、どんなに恐ろしい話が待っているのかと思いきや。危険を承知で各地を飛び回る青年剣士は意外そうな顔で首を傾げた。

「冒険に危険は付き物と言うじゃないか。別に珍しい事でもないだろう?」と青年剣士が言うと、店主は重々しく首を横に振る。

「そう思うだろう? だが違うんだ。仲間の一人がいつの間にか消えちまってな……それから、『出る』んだよ」

 一体何が出るんだ? そう青年剣士が言い掛けた時、背後で突然椅子の倒れる音がした。

「うあああああ、許してくれ! お前を置いていった俺を許してくれよぉおおおお!!!」

 石畳の上で狂ったようにもがきながら泣き叫ぶ男。だがしかし客は誰一人として男を見ようともしない。

 振り返った先にある異様な光景に言葉すら失う青年剣士に、哀れみの光を瞳に湛えた店主は静かにこう呟いた。

「死んだ仲間が化けて出るんだとよ。アンタもああなりたくなかったら北の廃墟にゃあ近付くなよ。『ソーサリアンの墓場』には、な……」

冒険の目的

 足を踏み入れれば行方不明者が出るという廃墟は正に呪いの館だった。既に幾人ものソーサリアンが廃墟の謎に挑み、仲間を失っている。
 無念の内にペンタウァへと帰還した者は、毎夜見る悪夢にうなされ、もう何人のソーサリアンが酒に溺れ、自ら命を絶ったのかも分からない。
 ソーサリアンに深き絶望を植え付けるこの廃墟は一体何なのか? 何故仲間が一人、また一人と消えてしまうのか?
 血塗られし廃墟の謎を解き明かし、自我のない亡霊となった同胞達の無念を晴らすのだ!

  • このクエストは二人以上の編成でなければなりません。
  • 出発前に毒・石化対策をしておいた方が良いでしょう。
  • シナリオレベルはシナリオの複雑さから言えば1ですが、道中の敵・ボスの強さから言うと2〜3かもしれません。
  • プレイ時間は30分〜1時間くらいが目安です。

本シナリオのポイント(という名の反省)

 ホラーチックなシナリオを目指し、廃墟・亡霊といったホラーなワードを取り入れました。(ソーサリアンはダークで血生臭いシチュエーションも出てくるので、そういう部分も表現したかった)

 しかし、〆切り間近で余裕がなかった事もあり、シンプルなストーリー構成、マップなし、仕掛けやハプニングにちょっとした反省点もあるのがションボリ要素(執筆中は何故か気付かなかったという……)。

 お遣い要素は少なめだと思いますが、仕掛けの解き方に関しては慣れるまでメモ書きが必要かもしれません。

 今作は無敵の敵が出てくるので、その敵を除けばやっぱり敵が少ない感じはします。

 ※ストーリー(前半・後半)は、シナコン〆切り後に書いたものです。

舞台

☆エレイアの屋敷(専用シナリオシート参照)

登場人物

 ※専用シナリオシート参照

レーシャ 20年前にエレイアの屋敷で事故死した少女。今も屋敷内に霊として縛られ、成仏出来ないでいる。
邪教団の教祖 レーシャ蘇生をエレイアに持ち掛け、洗脳したザレム教団の教祖。
邪教徒エレイア(ボス) レーシャを蘇生させる為、邪神に魂を売り渡した女。魔法が一切効かない。

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