新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

剣と魔法の都ペンタウァ - ヴァンパイア伝説 -(ストーリー後半)

[22]育った<赤い種>の木を登って、東の塔に入っていくと…(マップ番号 <13>)

(発生条件)初期状態
 東の塔の階段で、どうしても開くことのできない扉を見つける

解説「魔法の鎖で、扉が封印されている」

 <地属性の力>を持つ場合は、以下のメッセージが表示される。

解説「力任せに引きちぎろうとしたが、さすがに無理のようだ」

[23]東の塔頂上イベント(マップ番号 <14>)

(発生条件)初期状態

解説「向こうに西の塔が見える。
   途中に足場らしき浮遊物もあるが、
   とてもジャンプして届く距離ではない」

グロス「風の精霊がいるようだが…様子が変じゃ…
    もう自分の意思は喪っているようだの」

(発生条件)<風属性の力>を持っていること

解説「<風属性の力>によって、周囲につむじ風が舞い上がる。
   この風に乗れば、なんとか足場を辿って、
   西の塔に飛び移れるかもしれない」

 以降、普段の二倍ほどの距離をジャンプできるようになる(途中の足場を踏み外すと、中庭に落ちてしまう)。

[24]塔(下り)のイベント(カレン。マップ番号 <15>)

(発生条件)中庭の<カレン>イベントを通過済みであること。

ソーサリアン「……!」

 塔の階段で落とし穴が開き、そのまま、中に落ちてしまう!
 落とし穴の中。

解説「落とし穴は既に閉じてしまっているようだ。閉じ込められてしまった!
   …暗がりに目が慣れてくると、部屋の上方には、
   妖精や魔物の絵が飾ってあるようだ。
   左からノーム、ウンディーネ、サラマンダー、シルフ、スケルトン
   が描かれている」

ソーサリアン「気味の悪い部屋だ。なんだろう…」

カレン「このロープで上がってきな!」

解説「…その時、天井から女の声が響き、ロープが下ろされてきた。
   外に出られそうだ」

 上にあがると、落とし穴の脇にカレンが立っている。

カレン「良かった、無事だったようだね」

解説「ソーサリアンが礼を言うと、カレンは首を振った」

カレン「…うん、それはいいんだけどね。
    ひとつ気になることがあるんだ。
    ヴァンパイアの居城という割に、
    ヴァンパイアご本人の気配が感じられない…
    ただ、瘴気だけがますます強く立ち上ってくる感じ。
    ちょっとあたいの手には余るような気がするし、
    ここいらで逃げとこうかなって思ってるんだ。
    あたいの気のし過ぎだったらいいんだけど、
    あんたたちも気を付けた方がいいよ。
    …あ、そうだ。
    城の中で手に入れたんだけど、何かの役に立つかもしれないし、
    あたいにはもう用がないから、あげるよ」

解説「<水晶のビン>を手に入れた」

カレン「気を付けていきなよ」

 その後、カレンは姿を消してしまい、同じ場所では出会えない。

[25]塔内の下り階段イベント(グーラン&クレリアソード。マップ番号 <16>)

(発生条件)初期状態。最初に塔の一室に入った時
 部屋の奥には、白骨化した屍と、うすぼんやりとした光のかたまりが見える。

解説「屍のあたりに、微かな霊魂の気配を感じる。
   何かを語りかけたいようにも見えるが、このままでは理解できない」

(発生条件)<霊属性の力>を持っていること

解説「<霊属性の力>が脳内を突き抜けると共に、
   霊魂が目の前で実体化していく」

 うすぼんやりとした光のかたまりが戦士グーランの姿に変わる。

ソーサリアン「グーラン!」

解説「『消えた王様の杖』事件で、ソーサリアンを支えた戦士だ。
    なんと変わり果てた姿になったのだろう」

グーラン「久しぶり…というのもおかしいか。
     とうとう死んでしまったよ…
     『王様の杖』事件から何度も危険な目にあってきたが。
     しかし、世の中はどんどん戦士の生きる場所を奪っていく。
     ここいらで引退できたのも、むしろ幸せであったのかもしれぬな」

ソーサリアン「……」

グーラン「そうだ、旧知のよしみにひとつ良いことを教えてやろう。
     私の背後の壁の奥に、
     <クレリアソード>と呼ばれる聖剣があるそうだ。
     ヴァンパイア退治には役立つはずだ。
     私には行きつけなかったが、探してみるといい」

解説「ソーサリアンが礼を言うと、グーランは薄らと笑った」

グーラン「…旅は、冒険は、いいな」

ソーサリアン「はい」

グーラン「…死ぬでないぞ」

解説「グーランの屍の後ろにある壁を調べた。
   微かに入った罅からは風が漏れている」

(発生条件)<地属性の力>を持っていること

解説「マントが輝き、身体中に<地属性の力>が漲ってくる」

ソーサリアン「はっ…!」

解説「腕に力を籠めると、壁は粉々に砕け散った。
   どうやら先に進めそうだ」

 奥の通路に進むと、今度は瓦礫の山にぶつかる(マップ番号 <17>)。

解説「瓦礫はかなり奥まで続いているようだ。
   自分たちだけで運び出すのは難しいだろう」

(発生条件)<風属性の力>を持っていること

解説「<風属性の力>が瓦礫に吸い込まれていく。
   そこだけが長い時間を経過したかのように、
   瓦礫が風化しているようだ。
   やがて砂となった瓦礫は風にたなびき、跡形もなくなった」

 瓦礫のなくなった通路を進んでいくと、砂地にぶつかる(マップ番号 <18>)。
 踏み込もうとすると…

ソーサリアン「…!?」

解説「かなり地盤が緩いようだ。砂地に足が沈んでしまい、
   先に進むことができない」

(発生条件)<水属性の力>を持っていること

解説「<水属性の力>に反応して、
   大気中の水分が砂地に吸い込まれていく…
   水分を吸いこんだことで、地面がだいぶ固まってきたようだ」

 固まった砂地を進んでいくと、広くなった場所に剣が安置されている。
 近づいて調べる(マップ暗号 <19>)。

ソーサリアン「これが…<クレリアソード>か…?」

グロス「待て、ソーサリアン、触るでない!」

 画面がフラッシュする!

ソーサリアン「うわ…!」

解説「<クレリアソード>に触れた瞬間、
   強力な電撃がソーサリアンの身体を駆け巡る」

グロス「その剣からは激しく禍々しい力を感じる。
    どうやら呪いで封印されているようじゃな」

(発生条件)<火属性の力>を持っていること

解説「<火属性の力>によって焔が燃え上がり、
   <クレリアソード>を覆い包む。
   焔によって、呪いの気配は弱まっていくようだ」

グロス「火は浄化も意味するからの。…これでまずは安心じゃ」

解説「<クレリアソード>を手に入れた。
   長いこと呪いの影響を受けていたせいか、
   微妙に傷んでいるようだが、まだまだ戦いには使えそうだ」

[26]西の塔最下層イベント(マップ番号 <20>)

(発生条件)初期状態

解説「扉は固く閉ざされている。
   扉には、次のような文句が刻まれているようだ。
   肉体を持つ精霊は、最初
   天空に生きる精霊は、熱き心の精霊よりも前
   黄泉を司る精霊は、泉に住まう精霊のすぐ前
   天空に生きる精霊は、泉に住まう精霊のすぐ後
   熱き心の精霊は、最後」

 その後、落とし穴(マップ番号 <15>)のところに行き、<風属性の力>を使って、地→霊→水→風→火の順で絵を押し込むと(<風属性の力>を持った状態で絵を選択すれば良い)、扉が開くようになる。間違えた場合はいったん画面を切り替えると元に戻る。

解説「<風属性の力>によって、突風が額に吹き付ける!
   絵画がわずかにくぼみに押し込まれたようだ」

解説「すべての絵画を押し込んだ時、どこかで扉が開くような音が聞こえた」

 ※不便ではあるが、東の塔へ戻れば城へは戻れるので、本イベントは必須ではない。

[27]地下ダンジョン西区画イベント(ウンディーネ。マップ番号 <10>)

(発生条件)水晶の瓶を入手した後

解説「<水晶の瓶>をウンディーネに見せた」

ウンディーネ「いいわね。
       ちょっと狭いけど、泉の水を入れておけば、
       これで私も移動できるわ」

解説「泉の水を<水晶の瓶>に入れると、ウンディーネが瓶に吸い込まれた」

[28]地下ダンジョン東区画イベント(サラマンダー。マップ番号 <11>

(発生条件)<水晶の瓶>にウンディーネを入れた後

サラマンダー「性懲りもなく、まだやってくるか」

解説「その時、<水晶の瓶>の中からウンディーネの声が聞こえた」

ウンディーネ「瓶を彼に投げつけなさい。
       私が彼の力を抑えましょう…早く!」

解説「ソーサリアンは、
   ウンディーネの入った瓶をサラマンダーに投げつけた」

サラマンダー「うおおぉぉ!
       ウンディーネ、か…!?
       なぜ、貴様がこの者たちに手を貸す!?」

ウンディーネ「古き同胞が変わり果てていくのが美しいとは思えないから…
       それではダメかしら?」

解説「ウンディーネがうっすらと笑い、
   サラマンダーの火勢が僅かに弱まったようだ。
   今のうちだ!」

 サラマンダーとの戦闘再開。
 勝利すると…

サラマンダー「うおおぉぉ!」

ウンディーネ「……!」

グロスウンディーネ!」

 小さくなったウンディーネと、炎の剥げたサラマンダーが地面に横たわる。

サラマンダー「なぜ…なぜだ」

ウンディーネ「よくやったわ、冒険者たち」

ソーサリアン「さあ、ウンディーネ。バケツに入ってください!」

ウンディーネ「バケツはイヤ」

ソーサリアン「そんなことを言っている場合ではないでしょう」

ウンディーネ「いいえ、いいの。
       サラマンダーも独りで逝くのはお嫌でしょう。
       私がお供しますわ…どうせ、泉までは持たない」

ソーサリアン「……」

ウンディーネ「哀しまないで。
       私が私でいられたことこそが幸せなのだから…」

サラマンダー「…愚かな。人が変わるのであれば我らも変わるが道理。
       それがなぜ判らぬ」

ウンディーネ「あなたは変わったのではない、変えられただけよ」

サラマンダー「…そんなことは、とうにわかっておるよ。
       ただ、我は火の化身。
       このまま滅びるのであれば、
       激しく燃えて燃えて、そして燃え尽きたい…
       それだけだ」

解説「ウンディーネがひっそりと笑い、
   サラマンダーが微かに火の粉を散らし…
   そして、消えた。
   水と火の精霊は逝ったのだ」

 ウンディーネ&サラマンダーは薄れ、消える。

ソーサリアン「……」

グロス「…これもまた、彼らが選んだ道であろう。さあ、行こう」

 以降、サラマンダーから分離したファイアーエレメントが、ダンジョン東区画で発生するようになる。

[29]東の塔イベント(オーサー。マップ番号 <13>)

(発生条件)ダンジョンで既にオーサーに出会っていること/<火属性の力>を持っていること(=サラマンダーを斃している)

解説「<火属性の力>が鎖に集中すると、鎖が燃え落ちていく…」

 部屋に入ると、オーサーが奥で倒れている。オーサーに駆け寄る。

ソーサリアン「老師…!」

解説「老いた魔法使いからはいらえはない。
   怪我もひどく、命脈が尽きかけている」

(発生条件)<水属性の力>を持っていること

解説「<水属性の力>がオーサーの身体に注ぎ込まれる。
   見た目にも、尽きかけてきた生命が満ち満ちてくるのが感じられる」

オーサー「…おぉ、ソーサリアンか…無事で良かった。
     見てのとおり、ダークストーカーに不意を突かれ、この有り様よ。
     …儂の力では、ここまでのようじゃ。
     なに心配はいらぬ。
     お主らに救ってもらった命、
     なにがなんでも生き延びてみせようて」

(発生条件)<クレリアソード>を持っていること

オーサー「ひとつだけ言い忘れていたことがある。
     ダンジョンの奥底に火山口があったであろう。
     そう、サラマンダーがいた場所じゃ。
     どうも瘴気の源が、あの奥底にあるようなのだ。
     先に進むつもりであれば、あの周辺を調べてみると良いじゃろう」

 その後、火山口を調べると、奥底から瘴気が湧き上がる場所を発見できるようになる。

[30]サラマンダーのいた火山口を調べると(マップ番号 <21>)

(発生条件)オーサーから瘴気の存在を訊いた後

解説「火山口を調べると、確かに異様な瘴気が湧き上がっている箇所がある。
   奥には通路らしきものが見える。
   しかし、マグマの中に入るには相応の準備が必要だ」

(発生条件)<火属性の力>を持っていない場合(任意)

グロス「今の儂らでは、火山口には入れまい。手立てを考えねばな」

(発生条件)<火属性の力>を持っている場合

グロス「ここに入ってしまったら、ヴァンパイアを斃すまでは、
    もう戻ってこられぬかもしれん。準備は良いのか?」

 [はい][いいえ]の選択で、[はい]を選択すると…

グロス「よし、それでは行こうか」

[31]火山口を抜けると、そこには昏い炎と荒波と竜巻とが同時にたゆたつ異界に出る。

ソーサリアングロス。顔色が悪いようだが…大丈夫なのか」

グロス「瘴気がいよいよ強まってきたで…精霊の身にはちときついかの。
    じゃが、もう少しの辛抱じゃ。
    さあ、行こう」

[32]その後、霊、水、火、風の魔性との連戦(マップ番号 <22>)

ソーサリアン「<クレリアソード>が…!」

解説「おそらく、もともとが封印で弱まっていたのだろう。
   <クレリアソード>の刃こぼれがひどくなっている」

ソーサリアン「こんな状態で、ヴァンパイアとまともに戦えるのか…」

グロス「やむを得んな…」

ソーサリアン「……?」

グロス「土の精霊は鍛冶の精霊とも呼ばれることがある。
    剣を鍛え直すのであれば、<地属性の力>がいるであろう」

ソーサリアン「まさか…」

グロス「儂を討て。そして、儂の力でもって剣を鍛え直すのじゃ」

ソーサリアン「馬鹿な、そのようなことができるわけが…
       いったん、ノームの村に戻る方法を…
       いや、そもそもあなた自身で剣を鍛えることはできないのか」

グロス「ダメじゃな…儂はあくまで戦士。剣を鍛える業は持たぬ。
    しかし、純粋な<地属性の力>を取り出し、
    五元素のマントで増幅できれば、こんな儂の力でも役立つであろう。
    …さあ、<地属性の力>を儂から奪い取るのじゃ!」

解説「ノームが力尽きたように目を閉じた。
   すると、それまで防いでいた瘴気が一斉に注ぎ込まれたのだろう。
   次に開いた時、ノームの目には狂気が宿っていた」

 グロスとの戦闘を開始!
 斃すと…

ソーサリアングロス!」

グロス「…気にするな、ソーサリアンよ。
    我ら精霊は、いずれにせよ、この瘴気の中では長くは持たなんだ。
    あるいは、大事なところでお主らを傷つけてしまったかもしれぬ。
    最後に役立ったのであれば、それで良い。
    …すまんが、クルトン――我が息子のことを、頼むよ…」

解説「グロスの姿は薄れ、あとに<地属性の力>が残った。
   <地属性の力>を得た。
   <地属性の力>が迸り、クレリアソードの欠けた刃が元通り、
   いや、以前よりも鋭い切っ先となって甦った。
   それは、不屈の精神を持ったノームの老人の精神を、
   そのまま表しているかのようだ」

[33]更に連戦。異世界の最奥部に辿りつくと…(マップ番号 <23>)

ソーサリアン「あ…!」

解説「刹那――灼熱を孕んだ突風がソーサリアンの脇を駆け抜ける。
   風は<五元素のマント>を浚い、上空に舞い上げた!」

ソーサリアン「<五元素のマント>が…!」

 炎と波のうねりがソーサリアンの行く手を遮る。

解説「その時、上空に悪意が凝縮したような気配が立ち込め、哄笑が響いた」

ヴァンパイア「ご苦労だったな、ペンタウァの冒険者たちよ。
       魔性の力を存分に吸った<五元素のマント>は、
       我の力を十分に高めてくれる。
       我は、もはや無敵だ!」

ソーサリアン「ここまで我われを放置していたのも、それが目的か…!」

ヴァンパイア「さもなくば、どうしてどうして貴重な宝具を無防備に
       地上に晒しておくものか。
       晒しておけば、必ずやこれを用いて嬉々と妖どもから
       元素の力を吸ううつけ者は出てこよう。
       我は、ここでただ力を運んでくる者どもを
       待っていれば良かったというわけだ。
       さあ、貴様たちは用済みだ。消えてもらおう!」

[34]ヴァンパイアとの戦闘開始!

 斃すと…

ヴァンパイア「おぉぉぉぉ…馬鹿な、馬鹿な…
       <五元素のマント>は無敵ではなかったのか…!」

解説「<五元素のマント>が床に滑り落ちた。
   そして、そこから現れたのは…」

ソーサリアン「ノーム!?」

 マントの剥がれ落ちた下からは、ノームの若者の姿が現れる。

ノーム「そうだ…俺は、クルトン…ノームの子倅だ。
    これが、世間を騒がせたヴァンパイアの、
    本当の正体というわけだ…」

ソーサリアンクルトン、だと!?…グロスの、息子か…??」

クルトン「…お前たち、親父を知っているのか…」

解説「ソーサリアンは、これまでの顛末をクルトンに話して聞かせた」

クルトン「そうか…親父は死んだのか…」

ソーサリアングロスは、君のことを勇敢で芯のある若者と話していた。
       その君が、なぜこのようなことを…」

クルトン「なぜ?なぜだと!?
     それをお前らが訊くのか、この俺に」

ソーサリアン「…!?」

クルトン「俺たち、幻想と伝承の中で生きてきた者たちにとっては、
     現のものたちの記憶がよすがだ。
     奴がいる、そう思ってもらって初めて、
     存在できるうつろいの生物。
     だがどうだ、
     ペンタウァではもはや完全なまでに魔性を駆逐しようとしている。
     科学とやらが跋扈し、
     魔導すらもが過去に追いやられようとしている。
     強力な力を持つ魔性であればいざ知らず、
     俺たちのような卑小な者は一人消え、二人消え、
     滅びるのを待つだけだ。
     記憶と共に消えるべき存在、それが俺たちだ」

ソーサリアン「…それで自分たちの存在を示すために、
       こんなことをしでかしたと」

クルトン「愚かか?愚かでもいい。
     このまま忘れられて消えるだけならば、
     愚かでもここに俺がいる、
     そう覚えておいてくれる者がいれば、それでいい」

ソーサリアン「……」

クルトン「…さあ、さよならだ。
     <五元素のマント>の力を、
     所詮は卑小なるものが使えるわけもない。
     親父に愚か者と叱られてくるさ…」

解説「クルトンの身体は灰となって地に落ちた。風がそれを浚った」

クルトン「忘れるな、忘れないでくれ…」

ソーサリアン「……」

 ソーサリアンがその場から離れようとすると…

解説「その時、地の底から低い哄笑が湧きあがった」

謎の声「…死んだか。所詮は卑小なる生物、余興にもならぬな」

ソーサリアン「何ものだ!?」

謎の声「我は、キングドラゴン=ガルシス。暗黒界の、王なり」

ソーサリアンキングドラゴン…=ガルシス!?
       なぜこのようなところに、貴様が出てくる」

ガルシス「申したであろう。余興である、と。
     卑小なる者が足掻くその姿。おろかしくもいじましい。
     その姿を愉しむのが余興でなく、なんとする」

ソーサリアン「では、<五元素のマント>をクルトンに与えたのも貴様か…」

解説「ガルシスは再び哄笑し、肯定した」

ガルシス「卑小なる者よ、滅びよ。
     滅びに抗うその姿で我を愉しませよ。
     そちらが我を愉しませる限り、
     我はその力を闇の奥深くに鎮めておこうぞ。
     善哉、善哉」

解説「ガルシスの声は、いずこへともなく消えていった」

ソーサリアン「暗黒王は、忘れられゆく者たちの叫びさえも余興と呼ぶか。
       しかし、忘れるな。
       貴様もまた、所詮は幻化にすぎぬ。
       クルトンの哀しみを貴様もまた近いうちに味わうはずだ。
       その時、忘れられゆく者たちの哀しみと、
       さげすむ彼らと同列に堕ちる我が身を思い知るがいい。
       …もっとも」

解説「ソーサリアンはひとりごちた」

ソーサリアン「もっとも、我々自身も、
       所詮は幻想と伝承の存在にすぎぬのかもしれないが」

[35]奥に、青白い炎が立ち上る。そこを抜けると、城の外にワープできる。

解説「振り返ってみると、城は寂れ、
   何百年も放置されているかのような佇まいであった。
   もはや、そこには魔性のものたちの気配も感じられない」

ソーサリアン「…さあ、帰ろう。我々の町、剣と魔法の都ペンタウァへ」

 背景に機関車が通り抜けていく。

(End)