5つのオープン化でベンダー/ユーザ一体の展開を
[問題]
ソーサリアンは、「ひとつのシステムで無限のシナリオを体験できる」がポリシーのゲームである。しかし、一社(乃至、限られた協力ベンダー)で、システムをメンテナンスし、シナリオを提供し続けるのは困難であった。また、プレイする層もシナリオを重ねるほど、コアなソーサリアンファンに限定されてしまい、結果として、売上を頭打ちする一因となった。
新たなソーサリアンでは、プレイ層はもちろん、開発層までを含めて、よりベンダー/一般ユーザを巻き込んだオープンな展開が不可欠である。
(1)追加シナリオはコアエンジン同梱版とシナリオ単体版(導入のオープン化)
追加シナリオには2種類のパッケージで設ける。
エンジン同梱版 | 追加シナリオに加え、ソーサリアンシステムを含んだパッケージ |
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シナリオ単体版 | シナリオデータのみのパッケージ |
これによって、
- (たとえば)戦国ソーサリアンだけ興味を持ったユーザであっても、それ単体を購入できるようになる。
- 従来は基本シナリオに興味を持たなければ、それ以降のシナリオ購入はあり得なかったが、追加シナリオに興味を持った購入層が、あとから基本シナリオを購入するような流れも期待できるだろう(結果として間口の広がりが期待できる)。
ネットワーク接続が当たり前の時代。以前と違って、5シナリオ1セットの制約が外れるので、1シナリオ単位で簡単に購入でき、始められる前提環境が不可欠。
(2)ソーサリアンシステムをオープンソースに(システムのオープン化)
ソーサリアンシステム(ソーサリアンのコアエンジン)をオープンソースで公開し、一般開発者にもパッチの提供やコード改善の場を提供する。
商業ゲームではあまり類を見ないが(未確認)、プラットフォームをオープンにすることで、永続的なメンテナンス負荷の軽減が期待できる*1。
(3)コンストラクションキットでユーザも開発者に(シナリオ開発のオープン化)
シナリオ開発のためのソフト/環境を用意し、サードベンダー、一般ユーザを巻き込んで、ソーサリアン世界が自律的に広がる土壌を用意する。
コンストラクションキット*2
自作シナリオ作成の開発環境+素材セット。
- シナリオ作成を妨げない簡単操作
- ウィザードでチップセット/マップサイズ/配置する敵を指定するだけで、最低限遊べるマップを生成
- マップ編集も一画面単位でマップチップのセット、他マップへの出入り口を指定するだけで、大枠のマップを自動生成
- マップ上の該当ポイントをダブルクリックすることで、フラグ&イベントの関連付け(マップ指向の直感的なシナリオ作成を可能に)
- フラグ間の整合性は、グラフ図にて自動チェック可能
- 豊富な素材を提供
- 既存シナリオで利用したマップチップやキャラクターのパターン&サウンド集
- 既存シナリオのソースも閲覧可能に(ハックの楽しみ)
- マップ上のオブジェクトは(チップではなく)意味ある単位で提供
- ワンドラッグで、(たとえば)屋内まで備わった家を配置できるのが理想
- 地形の仕掛け(ドラッグ&ドロップでマップに配置すれば、そのまま動作する部品)
- ジャンプ力が増すバネ
- 間欠泉、溶岩など
- 落ちる床、回る床
- 逆さツララ、槍ぶすま、毒の沼
- ぶら下がれるツタなど
- よく利用するイベント&フラグのセットはマクロ素材として提供
- 宝箱を空ける(中身だけを設定すれば良い)
- アイテム利用でアクション(鍵で扉が開く、地形変化など)
- フラグで会話の変化
- 地形変化
- 登場人物がポイントからポイントに移動、など
- 行動アルゴリズム設定済みの敵モンスター(マップ上で発生領域を指定するだけで、あとは勝手に移動)
- こだわり派の高度な操作にも対応
クラウド環境
自作シナリオのマーケットプレイスを中心とした、開発クラスタのための共有空間
- リアルタイム配信
- シナリオフィードバック
- [いいね]&一言コメント(ネガティブなコメは最低限、運営報告機能でガード)
- ダウンロード数、クリアした人数、評価数などをシナリオ別/作成者別にランキングできれば、シナリオ作成のインセンティブにも
- ライセンス管理
- 公開時の設定に応じて、課金、ソース公開や素材再利用の可否等を管理
- 商業販売も想定して、ソース非公開のシナリオは難読化処理も
- 素材を再利用できるものは、素材ギャラリーにて公開
- 開発プロジェクト
- 複数人でのシナリオ開発プロジェクトを管理する場を提供
- シナリオ作成、作曲、デザインそれぞれが得意分野を持ち寄ることが可
- 作成中のシナリオはプルして、手元のエミュレーターで実行可能
- 開発実況セミナー
- メイクリアンによる開発をリアルタイム実況配信
- コメント(質問)受付でオンラインでの勉強会も
(4)リリース前からユーザを巻き込んだ展開を!(リリースのオープン化)
リメイクという前提と活かして、最初から旧ユーザ層を巻き込んだ展開が重要。ただし、あくまで主ターゲットは新規層となるよう、シナリオは新作を中心にまとめる。
- 10シナリオは完全オリジナル(新規層向け)
- 従来の移植作品は、シナリオもほとんどが旧作そのままの移植
- 旧作をもう一度という層を除いては、購入しない層も多かったと思われる
- 新システムを駆使した新しいシナリオは必須(単なる回顧向け作品にならないように!)
- 5シナリオは旧作を現代風にリメイク(回顧層向け)
- 5シナリオは新システムの仕様を公開の上、コンテスト公募
リリースの流れ(試案)
数値はリリース前後の時間。
- プロトタイプ作成&公式サイト立ち上げ(-8M)
- 新システム仕様の公開&意見公募開始(Twitterベース?)
- 旧シナリオ人気投票開始
- 人気投票〆(-6M)
- 上位5シナリオ結果発表
- コアエンジン+1シナリオでのクローズβリリース(-6M)
- シナリオコンテスト開始(β参加がコンテスト条件)
- シナリオコンテスト&意見公募〆(-1M)
- 正式版リリース(15シナリオ)+シナリオコンテスト結果発表
- シナリオコンテスト受賞作による追加シナリオリリース(+2M〜順次)