新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

5つのオープン化でベンダー/ユーザ一体の展開を

[問題]
ソーサリアンは、「ひとつのシステムで無限のシナリオを体験できる」がポリシーのゲームである。しかし、一社(乃至、限られた協力ベンダー)で、システムをメンテナンスし、シナリオを提供し続けるのは困難であった。

また、プレイする層もシナリオを重ねるほど、コアなソーサリアンファンに限定されてしまい、結果として、売上を頭打ちする一因となった。

 新たなソーサリアンでは、プレイ層はもちろん、開発層までを含めて、よりベンダー/一般ユーザを巻き込んだオープンな展開が不可欠である。

(1)追加シナリオはコアエンジン同梱版とシナリオ単体版(導入のオープン化)

 追加シナリオには2種類のパッケージで設ける。

エンジン同梱版 追加シナリオに加え、ソーサリアンシステムを含んだパッケージ
シナリオ単体版 シナリオデータのみのパッケージ

 これによって、

  • (たとえば)戦国ソーサリアンだけ興味を持ったユーザであっても、それ単体を購入できるようになる。
  • 従来は基本シナリオに興味を持たなければ、それ以降のシナリオ購入はあり得なかったが、追加シナリオに興味を持った購入層が、あとから基本シナリオを購入するような流れも期待できるだろう(結果として間口の広がりが期待できる)。

 ネットワーク接続が当たり前の時代。以前と違って、5シナリオ1セットの制約が外れるので、1シナリオ単位で簡単に購入でき、始められる前提環境が不可欠。

(2)ソーサリアンシステムをオープンソースに(システムのオープン化)

 ソーサリアンシステム(ソーサリアンのコアエンジン)をオープンソースで公開し、一般開発者にもパッチの提供やコード改善の場を提供する。

 商業ゲームではあまり類を見ないが(未確認)、プラットフォームをオープンにすることで、永続的なメンテナンス負荷の軽減が期待できる*1

体験版の提供にも

 コアエンジン単体を無償配布できれば、ペンタウァの道場(プラクティスモード)があるので、ソーサリアン未プレイのユーザにとっては体験版という位置づけにもなるだろう。

(3)コンストラクションキットでユーザも開発者に(シナリオ開発のオープン化)

 シナリオ開発のためのソフト/環境を用意し、サードベンダー、一般ユーザを巻き込んで、ソーサリアン世界が自律的に広がる土壌を用意する。

コンストラクションキット*2

以下、削除予定。より具体的な提案を次項にて追加中

 自作シナリオ作成の開発環境+素材セット。

  • シナリオ作成を妨げない簡単操作
    • ウィザードでチップセット/マップサイズ/配置する敵を指定するだけで、最低限遊べるマップを生成
    • マップ編集も一画面単位でマップチップのセット、他マップへの出入り口を指定するだけで、大枠のマップを自動生成
    • マップ上の該当ポイントをダブルクリックすることで、フラグ&イベントの関連付け(マップ指向の直感的なシナリオ作成を可能に)
    • フラグ間の整合性は、グラフ図にて自動チェック可能
  • 豊富な素材を提供
    • 既存シナリオで利用したマップチップやキャラクターのパターン&サウンド集
    • 既存シナリオのソースも閲覧可能に(ハックの楽しみ)
    • マップ上のオブジェクトは(チップではなく)意味ある単位で提供
      • ワンドラッグで、(たとえば)屋内まで備わった家を配置できるのが理想
    • 地形の仕掛け(ドラッグ&ドロップでマップに配置すれば、そのまま動作する部品)
      • ジャンプ力が増すバネ
      • 間欠泉、溶岩など
      • 落ちる床、回る床
      • 逆さツララ、槍ぶすま、毒の沼
      • ぶら下がれるツタなど
    • よく利用するイベント&フラグのセットはマクロ素材として提供
      • 宝箱を空ける(中身だけを設定すれば良い)
      • アイテム利用でアクション(鍵で扉が開く、地形変化など)
      • フラグで会話の変化
      • 地形変化
      • 登場人物がポイントからポイントに移動、など
    • 行動アルゴリズム設定済みの敵モンスター(マップ上で発生領域を指定するだけで、あとは勝手に移動)
  • こだわり派の高度な操作にも対応
    • 自動生成されたイベント/フラグは、イベントツリーで視覚的にカスタマイズ可能
    • マクロ(イベント&フラグ)、敵アルゴリズム、マップチップは自作も可能
    • 高度なイベントは独自スクリプトで自作*3
クラウド環境

 自作シナリオのマーケットプレイスを中心とした、開発クラスタのための共有空間

  • リアルタイム配信
    • デプロイしたシナリオデータは、リアルタイムにすべてのデバイスに対して公開
    • つまり、シナリオデータがデバイス依存とならないことが望ましい
    • デプロイ条件は、作成者がテストモードでクリアしていること(品質の最低限の保証&難易度だけを追求した無理ゲーを防ぐ)
  • シナリオフィードバック
    • [いいね]&一言コメント(ネガティブなコメは最低限、運営報告機能でガード)
    • ダウンロード数、クリアした人数、評価数などをシナリオ別/作成者別にランキングできれば、シナリオ作成のインセンティブにも
  • ライセンス管理
    • 公開時の設定に応じて、課金、ソース公開や素材再利用の可否等を管理
    • 商業販売も想定して、ソース非公開のシナリオは難読化処理も
    • 素材を再利用できるものは、素材ギャラリーにて公開
  • 開発プロジェクト
    • 複数人でのシナリオ開発プロジェクトを管理する場を提供
    • シナリオ作成、作曲、デザインそれぞれが得意分野を持ち寄ることが可
    • 作成中のシナリオはプルして、手元のエミュレーターで実行可能
  • 開発実況セミナー
    • メイクリアンによる開発をリアルタイム実況配信
    • コメント(質問)受付でオンラインでの勉強会も

http://www.web-deli.com/sorcerian/next/images2/world1_o.png

カスタマイズツール

 ただし、コンストラクションキット(メイクリアン)までは必要としない――手持ちのネタを手軽に実現したい、既存シナリオを一寸拡張して楽しみたい――というレイヤーは少なくないと思われる。

 そこで、メイクリアンとは別に、既存シナリオのカスタマイズツールを提供できるのが望ましい。既存シナリオのマップをベースに、以下のような仕掛けを設置でき、特殊イベントとして提供できれば、手軽にソーサリアン世界を拡げるきっかけになるだろう*4

  • 既存マップの拡張&シカケのカスタマイズ
  • 敵モンスターのパラメーター&アルゴリズム変更
  • 単発イベントの追加

 詳しくは、特殊イベントも参照されたい。

(4)リリース前からユーザを巻き込んだ展開を!(リリースのオープン化)

 リメイクという前提と活かして、最初から旧ユーザ層を巻き込んだ展開が重要。ただし、あくまで主ターゲットは新規層となるよう、シナリオは新作を中心にまとめる。

  • 10シナリオは完全オリジナル(新規層向け)
    • 従来の移植作品は、シナリオもほとんどが旧作そのままの移植
    • 旧作をもう一度という層を除いては、購入しない層も多かったと思われる
    • 新システムを駆使した新しいシナリオは必須(単なる回顧向け作品にならないように!)
  • 5シナリオは旧作を現代風にリメイク(回顧層向け)
    • 旧作の人気アンケートを実施し、上位シナリオを選抜(事前宣伝も兼ねる)
    • 舞台、中心となるイベントのみ踏襲し、シナリオはリライト(流れも大幅に変えても良いのではないか)
    • 選抜から漏れたシナリオも積極的に活用
      • 新道場の舞台として
      • 新シナリオの音楽も旧シナリオのものをアレンジ
      • サンプルPCとして、旧シナリオのNPCを提供、など
  • 5シナリオは新システムの仕様を公開の上、コンテスト公募
    • システムに対する意見公募の場にするのが目的
    • 特に、ソーサリアンはプレイヤ一人一人が「らしさ」のイメージを持っているので、意見公募は重要*5
リリースの流れ(試案)

 数値はリリース前後の時間。

  • プロトタイプ作成&公式サイト立ち上げ(-8M)
    • 新システム仕様の公開&意見公募開始(Twitterベース?)
    • 旧シナリオ人気投票開始
  • 人気投票〆(-6M)
    • 上位5シナリオ結果発表
  • コアエンジン+1シナリオでのクローズβリリース(-6M)
    • シナリオコンテスト開始(β参加がコンテスト条件)
  • シナリオコンテスト&意見公募〆(-1M)
  • 正式版リリース(15シナリオ)+シナリオコンテスト結果発表
  • シナリオコンテスト受賞作による追加シナリオリリース(+2M〜順次)

(5)軌跡、Ysなど既存シリーズとの連携(シリーズのオープン化)

  • 軌跡、Ys、英伝ブランディッシュザナドゥをはじめとしたFalcom既存シリーズと連携したシナリオを用意
    • これによって、これまでソーサリアンに触れたことのない層にも訴求する
    • 特に新作品リリース時は、コラボシナリオを積極的に展開
    • 音楽、世界設定、キャラデザなどの再利用で開発コストの抑制も
    • 具体的なシナリオ案については、拙シナリオNo.3を参照(後日公開予定)。
  • ライセンス的に可能であるならば、他社製品とのコラボも(どこまで可能かは未知数だが、相互に宣伝効果が望めれば可能性はありそう)

*1:ユーザに管理を託したことで、結果として長期間にわたって存続し得ているCardWirthなどの例もある。

*2:0401企画では「メイクリアン」と名付けていた

*3:0401企画ではBobScriptと命名されていた

*4:もちろん、そこで経験を積んで、メイクリアン開発に進もうとする層も一定期待できるだろう

*5:調整は大変そうだが…