新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

はじまりのゼロ(エピローグ)

共同執筆作品(リオ担当・イラストはみじゅんこさん)

SORCERIAN for iOSシナリオコンテスト ガッツリ投稿 にて入賞したときのじさん、Salvadorさん、リオによる共著作品です。また、イメージイラストはみじゅんこさん(@)に書き下ろしていただいたものです。
共著にご賛同&ご協力頂いた皆さま、本当にありがとうございました!

シナリオ No.1〜5 目次
シナリオ SPECIAL No.1〜8(みんなの応募作品)目次

http://www.web-deli.com/sorcerian/next/images_blog/zero.jpg

はじまりのゼロ(エピローグ)

[1]最終ステージ終了の後

 霧の中から抜けたパーティは、朝霧が薄く漂う崖の上に出る。
 眼下には、絢爛たる都と、都へ続々と入りつつある他の冒険者たちの姿が見える。

デュエル「あれは……!」

 背後からエティスがゆっくりと歩み出る。

エティス「あれこそが世界の要――ペンタウァの王都じゃよ。
     おぉ、あれを見よ!
     <霧>を抜けて、若者たちがペンタウァへ集わんとしておる。
     ぬしらと同様、<物語の断片>を絆のもとに結んできた若人よ」

解説「エティスは呵々と哄笑した。」

エティス「見よ、暗黒の竜めは貪欲なる性のために、
     人の仔の力を見誤ったのだ。
     <霧>の束縛が緩んだとみるや、
     暗黒竜は<霧>の版図を一挙に広げた。

     なれど、人々は呑みこまれるばかりではない。
     見よ。
     <霧>に呑まれた人々は、魔に怯えつつも、
     <物語の断片>を、<世界の欠片>に新たな絆を築きながら、
     このペンタウァへと続々と集わんとしているではないか。

エティス「カオスに散逸した世界は、
     人々の絆と共に、世界の要となるペンタウァのもとへ再び集い、
     七惑星神の加護はペンタウァを覆い、守護するであろう。
     おぉ、
     剣と魔法を鎧いし勇敢なる冒険者ソーサリアン)たちよ!」

エティス「未だ以て、世界はその一部が繋がりを取り戻したに過ぎぬ。
     なれど、ぬしらの冒険の足跡は、更なる絆を築き、
     そして、新たな世界を織りなすであろう。
     往け、ソーサリアンたちよ。
     ぬしらの旅立ちの土地、剣と魔法の都ペンタウァへ。
     ぬしらの旅こそが世界であり、ぬしらの赴くところ、
     世界は無限に拡がるのだ」

[2]エンドロール

朝霧の漂うペンタウァの都の情景をバックにメッセージがスクロール

A long time ago,so long ago that memories did not exist.

Love was not wide spread among the people
and it was magic or might that ruled the lands.

There were men that set our on precarious adventures
in order to test their strength and courage.

People called these men.....



Sorcerian.

以上、「はじまりのゼロ」完結。

SORCERIAN Next、開幕。

はじまりのゼロ(執筆者後記)

ときのじさん(FS「時飛びし亡国の戦人達」担当)

幾度の連載を経て、「はじまりのゼロ」堂々の完結!
おめでとうございます!!

私はFS「時飛びし亡国の戦人達」を担当したのですが、一番手に決まった時は「はたして私に一番手が務まるのだろうか?」という不安が真っ先に浮かんできました。
それと言うのも、今回は「各人のシナリオを再編して一本のシナリオを書き上げる」「一番手ということで『はじまりのゼロ』の根本にある設定を説明しなければいけない」という難題があったからです。

企画に参加されたお二人の優しさに甘えて、お借りしたNPCや舞台を思いっきりいじってしまいましたが、それにも拘わらず温かく見守ってくださったお二人には本当に感謝の言葉しかありません……!

しかし、その一方で「はじまりのゼロ」の設定を何処まで説明して良いのかの加減が分からず、又、設定の解釈違いもあったりして、そこでNGを貰ってしまうことはしょっちゅうでしたね(笑)。

それでも何とか皆さんのお力を借りてFSを書き上げ、今度は私が皆さんを見守る番になりました。

私のシナリオがシンプルだったこともあり、後にお二人が引っ提げてきた筆者の色が色濃く出ている深いシナリオを拝読して、目からSUN RAYが出るのではというほど驚いたのは言うまでもありません。

立場上、皆さんのシナリオをプロトタイプの頃から完成まで続けて拝読することが出来た訳ですが、感動すると同時に多くのことを学びましたし、そのシナリオの中に私の考えたNPCや舞台等を使って頂き、本当に光栄でございました。

私も素人ながら自分に出来うる限りの意見や感想を書かせて頂いていたのですが、それが少しでもお二人の役に立っていたのであれば嬉しいですね!

「はじまりのゼロ」という世界の中でも共に駆け抜けてくださったお二人と、この世界の行く末を見守ってくださったソーサリアンの皆様。

最後までありがとうございました!
お疲れ様です!!

Salvadorさん(TS「ゼロの創造」担当)

「はじまりのゼロ」へのお誘いを頂いたのは、ソーサリアンNextエイプリルフール企画が終わりに近づいた頃だったと思います。他の作者さんが製作したシナリオのマップと登場人物を使い、連作の新シナリオを創作するという企画を聞いたとき、まずは「面白そう」という印象でした。

また、リオさんのサイトで自作のソーサリアンシナリオを公開して頂くようになった頃から、Webでのゲームシナリオの公開はどうあるべきか、という事について考えていました。
映画やドラマのシナリオは主にセリフとト書きで構成されますが、ゲームシナリオはそれに加えて条件分岐があるので、製作意図と面白味を文章で表現するのが難しいのです。
それをこの企画でチャレンジしてみたいという思いもあり、すぐに参加表明させて頂きました。これが、今回私が担当させて頂いた3rd Stage「ゼロの創造」のはじまりです。

軽い気持ちで参加表明したものの、ちょっとしたつまずきもありました。
私が担当した3rd Stageは、「新・天の神々たち」「イース〜銀の灯が消えた国」「いにしえのダンジョン」そして「深き森の魔女」のマップと登場人物を使用するルールでした。

これらのシナリオ一つ一つはどれも単独で成立したものなのですが、「新・神々〜」「イース〜」は何をやっても「2次創作の2次創作」になってしまい、オリジナリティを出すのが難しく、また「いにしえ〜」は、原作の性質上、登場人物がいないシナリオでした。さらに「深き森〜」はiOS版シナコン優秀賞受賞作品で、企画開始時は著作権を持つアエリアの許可が出ず全貌が公開されていませんでした。

当初、「新・神々〜」と「いにしえ〜」のマップを使ってシナリオを構成してみたのですが、どうもしっくりせず、自分の力の無さを痛感すると共に作品はしばらく寝かしていました。

そんな中、ときのじさんが1st Stageで見事に企画ルールに沿った「時飛びし亡国の戦人達」を公開、そしてリオさんが企画ルールから大幅に突き抜けた2nd Stage「五稜郭炎上」を大公開。お二人のシナリオに刺激を受け、さらにアエリアによる「深き森〜」の全貌公開が大きな転機となりました。

「新・神々〜」と「いにしえ〜」の間に、公開された「深き森〜」を挿入しただけで一気にイメージが膨らみ、最後まで書き上げた感があります。
イメージが膨らみ過ぎて、4シナリオ以外のアイテム「英雄の絵本」も最後に勢いで登場させてしまいました。(スミマセン)

シナリオの公開方法については「ゼロの創造」本編を見て頂ければお分かりになるように、HTMLのハイパーリンクを用いた「ゲームブック風」の形式となりました。
あえて「ゲームブック風」とし、「ゲームブック」そのものにしなかったのは、読み手がソーサリアンシナリオをイメージできるかどうかにこだわりがあったからです。完全なゲームブック形式にしてしまうと、良くも悪くも「フラグ立て」「おつかい」と揶揄されるソーサリアンシナリオの味わいが消えてしまうのです。これは製作していく中で発見した事でした。
ゲームと読み物として、二通り楽しんで頂ければ作者としては幸せでございます。

ソーサリアンシナリオの公開方法は、この形式がベストとは思っていません。今後も試行錯誤を継続していきたいと考えています。

ここに至るまで、サンプルゲームの評価からブログへの移植、公開前の動作確認までリオさん、ときのじさんにはお付き合い頂きました。あらためて感謝いたします。
ありがとうございました。

リオ(全体ストーリー&SS「五稜郭炎上」担当)

2013年エイプリルフール企画「SORCERIAN Next」(http://www.web-deli.com/sorcerian/next/)のオマケ企画として立ち上げた本シナリオでしたが、本編が長くなってしまい、結局、ほぼ2年がかりの大長編になってしまいました(笑)。
#にも関わらず、私担当の五稜郭炎上は未だ9回/全13回で止まっていたり……ここまで来たら、ぐわっと開き直って、じっくり一話一話を大事に進めていきたいと思います(^^; SSの執筆後記は改めてジックリ書きますよ!

現在、FS(First Stage)、SS(Second Stage)などと呼んでいるものは、当初は第一SS(ショートショート)と呼んでいたのですが、それぞれのステージ共に、あまりに長くなってしまったことから(え、特にSS…;)、途中で現在の呼称に改めています。

当初は、「オープニングシナリオ」という名目だったのですが、どちらかというと、Nextシナリオを読み終えたプレイヤーに向けて、改めて「ソーサリアンの原点を振り返る」的な追加連作シナリオという形に収まったような気がします。

なんというか…全然当初の思惑とは違っているわけですが、それもまあ、お祭り企画の醍醐味と言うことでお許しください…ゼロを読んだ方が、改めてNextの他14シナリオを読みたいと思うきっかけにでもなれば…いいなぁ^^;

さて、肝心の内容ですが、やはり共著だと著者其々の個性が如実に現れますね(そもそも世界観にすら統一を持たせようという気がなかったわけで;)。

たとえばソーサリアンの扱いひとつをとっても、ときのじさんのそれは勇者色が強い人たちですが、Salvadorさんのそれはどこにでもいる冒険者という人のように見えます。ソーサリアンを愛するすべての心の中に、それぞれのソーサリアン像があって、そんな自由な想像を許してくれる懐の深さも、ソーサリアンの良いところなのかと改めて。

とりあえず今回は最初の共著ということで、あんまりお互いに連携をとらずとも、なんとなく形にできれば、を目標にしていましたので、そうした意味では成功、だったのかなと思っています。

既に次の共著を…などと話も出ていますので、その際は、もう少しきちんと連携したものも書いていければなどと思います。

ということで、最後まで交々書き連ねてしまいましたが、なんにせよ、最後までお付き合い頂いた読者の皆様に感謝でございます。そして、共著に賛同いただいたときのじさん、Salvadorさん、お疲れさまでした!

[追記]
ちなみに、今回公開のエピローグは2013年の0401企画直前にせこせこと書いてたもので、2年ぶりに日の目を見ることができました(笑)