新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

はじまりのゼロ SS「五稜郭炎上 - 転:宮古朱く」(クリスティ編)

共同執筆作品(リオ担当)

2013年エイプリルフール企画「ソーサリアン Next」のあとの祭り企画として、ときのじさん、Salvadorさんと共に、書き下ろした作品です。全体ストーリーとSecond Stage(SS)をリオが担当させていただきました。

シナリオ No.1〜5 目次
シナリオ SPECIAL No.1〜6(みんなの応募作品)目次

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はじまりのゼロ SS「五稜郭炎上 - 転:宮古朱く」(クリスティ編)

[1]回天丸・土方の部屋(スタート地点)

ジャイアントクラブを倒した後には、床に倒れた土方だけが残っている。
一緒に戦った日野宗次郎は、いつの間にかいなくなっている。

土方「俺は……どうしたんだ……?」

解説「クリスティは土方を助け起こしながら、これまでにあったことを話した。
   漂流していた自分が回天丸に救われたこと。
   回天丸が嵐に見舞われ、座礁したこと。
   土方が魔物に憑依されていたこと。
   日野宗次郎という若い侍が助けてくれたこと」

土方「五稜郭で榎本さんと話してたあたりから、記憶がねぇんだが……
   そうか……随分と長いこと、俺は眠っていたってェことだな。
   いや、その<魔>とやらに操られていたのか。
   なに、日野、宗次郎…だと?
   そうか……日野の宗次郎……で、そいつは…
   もう、いねぇようだな。

   ……まあ、いい。
   とりあえずは嵐も止んだようじゃねぇか。
   他の者たちにもすっかり心配をかけちまったようだ。
   まずは、艦長室に行くとするかね」

解説「土方歳三が仲間に加わった」

画面がフェードアウトし、船長室へ移動。

[2]回天丸・船長室
甲賀/矢作の前に立つ、クリスティ&土方。

矢作「おぉ、土方さん、無事であられたか」

土方「あぁ、心配かけてすまねェ。
   で、状況は?」

矢作「なんとか浸水も食い止め、本艦はなんとか航行可能であるようだ。
   しかし、蟠竜、高雄の姿は依然として見えぬ。
   これでは、作戦の実行は困難なのではないか」

土方「とはいっても、ここで引き返すわけにもいくめぇ。
   このままでは、どうせ我が海軍はジリ貧なんだしな」

矢作「では、このまま敢行する、と?
   土方さん、それであなたには勝算があるのか?」

土方「じゃあ聞くが、
   鳥羽伏見以降、俺らに勝算のある戦なんざあったかね?」

矢作「それは、お答えになっておらぬ……!」

甲賀「……続行だ」

矢作「艦長!?」

土方「ご英断に感謝する」

船長室を出る。

[3]回天丸・各部屋での会話

船長室を出て以降は、それぞれの部屋で自由に会話。

海軍奉行の部屋
荒井「土方くん、無事でなによりだ。
   だが、船団はとても無事とは言えぬようだな。
   蟠竜、高雄の姿も、未だ見えぬとか」

土方「正直、いけませんな」

荒井「いけないかね。勝算はあるのかい?」

土方「……あんたも、撤退の意見ですかい」

荒井「いいや、私は<おぶざぁばぁ>だよ。
   実戦に関わる決定は、君や甲賀くんに任せてある。好きにすればいい」

土方「………」

荒井「君は、おそらく我が軍の中で唯一、死に場所を知っている男だ。
   その判断を信じている」

土方「死に場所…ですかい。人を死神みたいに言わねェでもらいたいもんだ」
兵士たちの部屋
新撰組隊士I「副長…!私は、最後まで副長についてまいります!」

土方「おいおい、俺は、もう副長じゃねェって」

新撰組隊士II「土方先生、いよいよですかな」

土方「あぁ、いよいよだ」

新撰組隊士III「副長、鳥羽伏見からの我らの長い戦も、
       これが最期になるのでしょうか」

土方「だから、副長じゃねェっ…て、もういいや。
   おいおい、勝手に最期なんて決めてくれるなよ」

彰義隊士I「土方殿、我ら彰義隊一同、出陣の用意は万端にございます!」

土方「おぅ、頼もしいな。
   だが、甲板は体が濡れる。体を冷やさねぇよう、まだ船室に待機だ」

彰義隊士II「蟠竜、高雄も沈んだ、と…!?
      土方先生、いったい海軍の連中はなにをしておるのですか!?」

土方「まぁまぁ、そういってくれるな。
   俺たちは俺たちで、できることをやるだけさ。
   それとも彰義隊は、回天だけで突撃するのは怖いのかね」

彰義隊士III「土方先生……」

土方「おいおい、そんな悲壮な顔をしてくれるなよ。
   俺たちは勝つ。
   そのために、こんな北の大地まで来たんだ。そうじゃねぇのかい?」

神木隊士I「土方さん、蟠竜、高雄なき今、
      撤退し、再戦を帰するのがあるべき決断なのではないでしょうか?」

土方「撤退策は、次のある者のための策だ。
   今の俺たちに、次があるとでもいうのかね?」

神木隊士II「………」

土方「……馬鹿野郎が、腹を、斬りやがった。
   ここまで来て、こんなとこで死んでどうしようってんだ……
   死に場所を間違えるんじゃねぇよ!」
副官たちの部屋
(相馬との会話)
相馬「土方先生、ご無事であられましたか…!」

土方「心配かけたみてェだな。
   わざわざお客人を俺の部屋に寄越してくれたみたいじゃねぇか」

相馬「そ、それは……!」

土方「まあ、いいさ。
   お前さんは信用できる男だ。
   とりあえず、戦場ではな。そうだろう?」

相馬「は、はっ……それは無論…」

土方「……部下共が、妙に浮き足だってるようだぜ。
   突入前に、引き締めておけ!」

(野村との会話)
野村「土方先生、心配しておりましたぞ」

土方「て、どんだけ心配してねェ面ぁしてんだよ」

野村「親より譲り受けた生来の面でしてな」

土方「……こんなところまで着いてきたんだ。
   てめぇの剣の腕前は信用している。
   だから……、死ぬんじゃねぇぞ」

野村「土方先生から、死んで来い以外のお言葉を賜るとは意外でしたな」

土方「………」

(ニコールとの会話)
ニコール「土方、アボルダージュ(接舷)作戦は続行と」

土方「ニコール、これは俺たちの国の戦だ。
   あんたらフランス海軍のもんが命を賭けるこたぁねぇ。
   今から逃げても、責める奴なんざいねぇんだぜ」

ニコール「フランスには、
     <ワインが抜かれたら、ワインを飲む必要がある>
     という諺があります。
     日本では、<乗りかかった船>というのでしたか。
     アボルダージュは、私が提案した作戦。
     最後まで見届けねば、フランス海軍の名折れでありましょう」

土方「メルスィ、ボク」
日野らがいる船室

 薄暗い中に、めいめいの格好で寛いでいる侍たち。
 だらしなくねそべっている若い侍(日野)に……

土方「総司、相変わらずみたいだな」

日野「土方さんが、めっきり頼りになりませんからねぇ。
   ゆっくり休んでもいられませんや」

土方「おけよ。
   おい、クリスティ、あんたを助けたってのは、こいつだろ?」

日野「どっちかというと、土方さんを助けたつもりだったんですがねぇ」

土方「どっちでもいいさ。
   日野宗次郎なんて、ふざけた名を名乗りやがって。
   おい、沖田、沖田総司ぃ…!」

貫禄ある侍「おい歳、函館はもうすぐ陥ちるぞ」

土方「陥ちますかね、近藤さん」

近藤勇「あぁ、陥ちる。お前だって、わかってるんだろう」

土方「まぁ…そうですな」

近藤勇「だが、稀代の大喧嘩は見逃せんかね。
    歳の部類の喧嘩好きにも、困ったものだな」

土方「喧嘩くれぇしか、楽しいことがないもんでね」

知的な侍「副長、いえ、今は陸軍奉行並でしたか」

土方「山南(さんなん)さん……」

山南敬助「あなたは無理をしすぎる。
     それが新撰組をここまで支えてきたとも言えるでしょうが、
     新撰組を死の淵に追いやった理由でもある」

土方「俺たちは、所詮、壬生の死神でしょう。
   自分らは好き勝手斬りまくっといて、
   己は生き延びるんじゃあ、帳尻が合わねェ」

山南敬助「まったく、あなたは……」

土方「おい、山崎、相変わらず不景気な面だなぁ」

山崎烝「持って生まれた顔ですから」

[4]回天丸・宮古湾突入

(発生条件)回天丸の乗員すべてと会話していること

船長室に入ると、矢作が船内に指令を発している。

矢作「宮古湾に入ったぞ!
   米艦の偽装をした回天丸は、甲鉄艦に近づいたところで、
   我が軍の旗を揚げた後、一気にストーンウォールに接舷する。
   接舷したら、とにかく総員、甲鉄艦に飛び移れ!
   いいな!」

画面は回天丸甲板に移動。
衝撃が走り、回天丸が甲鉄艦に衝突する!

解説「回天丸は甲鉄艦に乗り上げた。
   しかし、甲板の落差がありすぎて、これでは乗り移れない!」

土方「甲鉄艦の甲板が低すぎる…!」

ここからタイムアタック。15:00以内に甲鉄艦の操舵室に辿りつくこと。
時間オーバーした場合には、以下のメッセージと共にゲームオーバー

土方「ここが俺の死に場所か……!
   俺の予定とは違うようだがな」
甲鉄艦に乗り移るまで

(発生条件)<風属性の力>を持っていること

解説「<風属性の力>が、彼らの体を中空に舞い上げた」

大ジャンプで甲鉄艦に乗り移れる。
以降、回天丸に戻ることも可能であるが、
その場合は再び<風属性の力>が必要になるので要注意。

甲板前方&前方船室
土方「甲鉄艦に乗り移ったはいいが、
   いくらなんでも俺たちだけじゃあ、甲鉄艦の占拠は無理だぜ……
   なんとか架け橋でも作ってやらねぇと」

土方「あのマストでも、斬り倒せりゃあなぁ」

以降、甲鉄艦内部は自由に移動できるが、仲間の支援がないままだと、
敵の攻撃がどんどん激しくなってくるので要注意。

(発生条件)<土属性の力>を持っていること
回天丸に近いマストを調べると……

解説「マントが輝き、身体中に<地属性の力>が漲ってくる」

マストが傾き、甲鉄艦から回天丸への架け橋ができる。

土方「おいおいおい、どんな力なんだよ…!
   しかし、これで他の奴らも飛び移れるってもんだ!
   おい、おめぇら、急げ!
   時間はねぇぞ!」
甲板後方

ガトリング砲の斉射によって、仲間が次々に倒れていく。

土方「あれが、噂のガトリング砲かよ……
   あんなのに出てこられちゃあ、生身の人間にゃあひとたまりもねぇよ。
   ……おい、お前ら!無駄に死ぬなよ!」

一瞬で生命力の半分を持っていかれるため、無理に先に進むことはできない。

(発生条件)<火属性の力>を持っていること

解説「<火属性の力>によって周囲の気温が灼けつくまでに上昇していく……」

ガトリング砲が異音を発して停止する。

土方「なんだぁ、回転させすぎて砲身が灼けちまったのか……!?
   まぁいい、行くぞ!」
甲鉄艦船内

敵の数が次第に多くなってくる。
仲間も敵と切り結んでいるが、進むにつれて、
敵の数は増えて、伴い、倒れている仲間の数も増えてくる。
また、途中からは鉄砲による攻撃も増えてくるため、体力の維持に要注意。

倒れている味方を調べると、以下のメッセージ(ランダム)

土方「(だめか)」

解説「返事はない。全身、蜂の巣だ」

土方「おい…!おい…!しっかりしろ!」

新撰組隊士「副長…お、先に……失…し(息絶えた)」

解説「兵士の周囲には数倍する敵が倒れている。
   味方の兵士が、最期まで善戦した証拠だ」

解説「土方は、カッと見開いた兵士の目をそっと閉じさせた」

更に先に進もうとすると……

解説「味方に比して、敵兵の数が多すぎるのだ。
   このまま先に進むのは、危険すぎる」

土方「せめて敵の目でも眩ませられればなぁ……」

以下、所持する属性によって、イベントが僅かに分岐。

(発生条件)<火属性の力>を持っていること

解説「<火属性の力>が周囲に迸り、船内に火の手が上がる。
   敵兵の混乱に乗じて、なんとか囲みを突破できるだろうか?」

(発生条件)<水属性の力>を持っていること

解説「<五元素のマント>を通して<水属性の力>が湧きあがり、
   天井から、壁から、床から、水が滲み出る……
   どこからともなく湧き出た水に、敵兵たちも動揺しているようだ」

(発生条件)上記のいずれかのイベントに続いて、<火(水)属性の力>を持っていること
上記の火・水いずれかのイベントだけでも突破できるが、まだ敵兵の数は多く、抜けるのは困難。火・水の組み合わせによって、更に敵兵の攻撃を弱められる。

解説「<火属性の力>と<水属性の力>が混じり合って、
   濃密な蒸気が周囲を押し包む……!
   著しく低下した視界は、寡兵にとってはこの上ない好機だ。
   先を急げ!」
甲鉄艦・操舵室付近
土方「くっそ!ここで行き止まりか…!?
   そんなはずはねぇ、
   甲鉄艦の船内図からすれば、このあたりに操舵室があるはずだ!」

(発生条件)<霊属性の力>を持っていること

解説「<霊属性の力>が脳内を突き抜けると共に、
   壁の一角に、これまで見えなかった扉が浮かび上がってくるではないか。
   壁に、魔法による結界が張られていたのだ」

以上でタイムアタックは一旦終了。

[5]甲鉄艦・操舵室内部

操舵室内部の敵兵を倒すと、奥にいる男が振り返る。

甲鉄艦長・中島四郎「………」

土方「この艦の艦長、だな」

解説「位の高そうな装いの軍人だ。
   しかし、その双眸は死んだ魚よりも濁っており、
   手足の動きも傀儡(くぐつ)のようにぎこちない。
   そう、丁度あの時の土方のように」

中島「チガ タリヌ、タリヌ、タリヌ、タリヌ……
   ヌシ、ラノチ、ヲ、アタエヨ……
   キョシンノ、フッカツ、クモン、ゼツボウ、センケツ……
   シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、
   シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、
   シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、
   シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ……」

中島艦長の体からどす黒い瘴気のようなものが浮き上がり、クリスティ&土方に襲い掛かる!瘴気は実体を伴いはじめ、中ボス<ヴァンパイア>(霊)発生。
そして、後方の扉からは敵兵が乱入し始める。

土方「……!」

その時、敵兵が何ものかによって、斬り倒される!沖田総司だ。

沖田「土方さん、貸し一点ですぜ。これで何点かなぁ」

土方「いちいち覚えてられるかよ」

更に斬りかかってくる敵兵を斃しながら…

沖田「……あぁ、もう五月蝿いなぁ。
   新撰組一番隊隊長、沖田総司。
   君たちも、聞いたことはあるんでしょ?
   土方さん、そっちのおっかなそうなのは、任せていいんですよね?」

土方「あたりめぇだ」

沖田、切り結びながらそのまま部屋の外へ。
更に、画面は操舵室の外に移って。敵兵と切り結ぶ新撰組の隊士たち。

近藤「新撰組局長、近藤勇。推参……!」

山南「同じく総長、山南(やまなみ)敬助。行きますよ」

山崎「……俺に、名乗る名などない。来い」

画面は再び操舵室に戻って、<ヴァンパイア>戦開始。敵詳細は、「剣と魔法の都ペンタウァ」(https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-gndi52rxgn5r3fe5q7bo3bbd2m-1001&uniqid=65d39eff-658d-4359-acb6-4caca0e3d293&viewtype=detail)設定資料を参照のこと。

斃すと、瘴気が立ち上り、ヴァンパイアは蝙蝠となって四散する。

ヴァンパイア「キ、キサマ、キサマ ハ……」

土方「新撰組副長・土方歳三。
   覚えておけ、地獄の底までな」

[6]甲鉄艦・操舵室内部

その時、けたたましい汽笛が響き渡る。

土方「撤退の、合図だな。
   仕方がねぇ。
   操舵室だけ押さえても、他の部署をおさえられねェんじゃ、
   おっとり囲まれて、終めェだ。
   引きあげるか」

倒れている中島を調べると……

土方「抜け殻だぜ。人質……は性に合わねェな」

そのまま操舵室を出ると、既に沖田、近藤らの姿は見えない。
新たな敵兵たちが更に現れる。
ここからタイムアタック再開。
前回の残り時間+05:00以内に甲鉄艦から脱出すること(タイムオーバーの場合、先ほどと同じくゲームオーバー)。

脱出途中

砲弾が当たる音がして、甲鉄艦が激しく揺れる。

土方「回天丸か。だが、甲鉄艦の装甲を貫けるものかよ」
脱出途中(2)

まだ野村利三郎ら、兵士たちが乱戦している場に遭遇。

土方「おい、やめろ!喧嘩は終めぇだ!
   ……政府軍、お前らも引け!俺たちも、もう引き上げる!」

野村「土方先生……!」

敵兵I「土方、鬼の土方か……!」

敵兵II「あの新撰組の…」

土方「あぁあぁ、そうだ、その土方だ。
   双方、終わった喧嘩であたら命を粗末にすることもあるめぇ」

敵兵がザワザワと引き下がっていく。

土方「野村、大丈夫か……!」

野村「鉄砲玉に、やられましたよ。あれは……いけませんな」

解説「野村の息は絶え絶えだ。
   顔も蒼を通り越して、白く紙のように血の気がない」

土方「(だめか)」

野村「土方先生、俺に命じてはくれませんかね。
   <野村、死んで来い>と…」

土方「……野村、死んで来い。新撰組副長の命令だ!」

野村「戦勝報告は、冥途で、
   近藤局長や沖田隊長にしておきますぜ」

土方「あぁ、頼んだぜ」
甲鉄艦甲板

回天丸に引き上げる兵士たち。
回天丸艦長甲賀、副長矢作が最後尾で兵士たちの撤退を支援している。

甲賀「……!」

鉄砲が甲賀の身体を撃ちぬく。ドゥと倒れる甲賀
マストに縋って立ち上がる甲賀
更に、砲弾が甲賀を蜂の巣に。再び血煙を上げて倒れる。

土方「甲賀さん…!」

甲賀「…
   ……
   ………」

矢作「あなた方が最後だ、撤退せよ、
   艦長はそう仰っています」

土方「あんたらは…!」

矢作「艦長の通辞がおらねば、艦長が不便されるでしょう」

場面変わって、回天丸船長室。

荒井「海軍奉行・荒井郁之助である。
   本艦の指揮は、小職が引き継いだ。
   回天丸は、これより撤退行動に移る。
   繰り返す、撤退行動に移る。
   生存者が回天丸に乗り込み次第、
   主砲を斉射の上、一気に甲鉄艦から離脱せよ!」

場面戻って、クリスティ&土方。
甲賀/矢作をおいて、倒れたマストから回天丸に乗り込むと…
回天丸の主砲が火を噴き、その反動で甲鉄艦から離れる。

解説「その日、旧幕府海軍は
   宮古湾における甲鉄艦(ストーンウォール)奪取に失敗。
   激闘の時間は、わずか30分にも満たなかったと言われる。
   翌日、傷だらけのその身で、函館に寄港した。
   この敗戦によって、
   新政府軍による津軽海峡制海権は決定的なものとなり、
   旧幕府軍、函館政権の敗北は時間の問題となった」

以上、クリスティ編&[転]宮古朱く(完)

次回、[結]巨神醒む、は7/28公開予定です。