新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

はじまりのゼロ SS「五稜郭炎上 - 承:函館燃ゆ」(クリスティ編)

共同執筆作品(リオ担当)

2013年エイプリルフール企画「ソーサリアン Next」のあとの祭り企画として、ときのじさん、Salvadorさんと共に、書き下ろした作品です。全体ストーリーとSecond Stage(SS)をリオが担当させていただきました。

シナリオ No.1〜5 目次
シナリオ SPECIAL No.1〜6(みんなの応募作品)目次

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はじまりのゼロ SS「五稜郭炎上 - 承:函館燃ゆ」(クリスティ編)

[1]嵐の回天丸(スタート地点)

嵐の発生と共に船の中に湧き出てきた魔物たちと戦いながら、船を移動していく。
<五元素のマント>を入手して以降、それぞれの属性に応じて<○属性の力>というアイテムを落とすようになる(拾うかどうかは選択可能)。

当該エリアで登場するモンスターは、以下のとおり。

  • ウッドゴーレム(地)
  • ジャイアント・タッドポウル(水)
  • ファイアーエレメント(火)
  • ジャイアント・ドラゴンフライ(風)
  • スペンド・デビル(霊)

[2]回天丸の探索・前半

以降、船を探索していくと……

飯炊き場
エティス「<物語の断片>は、時として、
     他の欠片、世界と強く繋がりを持つものによって、
     繋がりを取り戻すことがある。

     それは人の思いであったり、なにか縁のあるモノであったり、
     はたまた、歴史や記憶が紡ぎだす時の流れ
     そのものであるやもしれぬ。

     ぬしらが<物語の断片>を越えてきたということは、
     おそらく絆となるなにかを得たからであろう。
     もっと言えば、そうした絆を集め、渡り歩くことで
     散逸した世界は再びひとつとなるやもしれぬ。

     確かとは言えぬが、少なくとも儂はそう考えておるのだよ」

以降は、持っている<○属性の力>によって、エティスの台詞が変化する。

<土>
エティス「それは<土属性の力>じゃな……
     土の力は、主に物理的な力を与えるじゃろう。
     また、大地は生物を育む母胎の象徴でもあるのだ」

<水>
エティス「それは<水属性の力>。
     水の力は、主に水を自由に操る力を与えるじゃろう。
     水中を自由に駆け、水を呼び出すことが可能になる。
     また、水は生命の象徴でもあるのだ」

<火>
エティス「それは<火属性の力>……
     火の力は、主に火を自由に操る力を与えるじゃろう。
     また、火は浄化の力も齎してくれることもあるの」

<風>
エティス「それは<風属性の力>。
     風の力は、主に風を操る力を与えるであろう。
     また、風は変化の象徴でもある。時を駆け抜けていくのも、
     風なのじゃよ」

<霊>
エティス「それは<霊属性の力>じゃな。
     霊の力は五元素の中でも、特に扱うのがとても難しい。
     下手にすべての力を引き出そうとすれば、
     主が異界に引きずりこまれることにもなる。
     ただ、この世ならざる者に接する時に役立つこともあるじゃろう」
船内廊下

人のいる部屋の扉を開こうとすると……

人の声「ば、化け物だ……!」

人の声「開けるな!魔物の侵入を絶対に許してはならぬ…!」

解説「室内では、見慣れぬ魔物の出現にパニックになっているようだ。
   魔物は、いったいどこから現れているのだろうか」

船内を探していくと、何箇所か怪しげな場所が見つかる。

解説「船体の一部が蟻地獄のように、はるか奈落にまで渦を巻いている。
   地象の妖は、蟻地獄を逆流するように侵入してきている」

解説「闇のような焔が燃え盛っている。
   炎の魔物は、その中から飛び火しているようだ」

解説「魔物の吐瀉物とも汚物とも知れぬヘドロが、
   魔物たちを放り出している。水の魔性である」

解説「光が、闇が、互いに反発しながら渦を巻いている。
   その中から産み出されているのは、風象の魔であろうか」

解説「次元が捻じれているのだろうか。
   視界が揺らぎ、先を見通すことができない。
   霊象の魔物は、その中から滲み出てきているようだ」

[3]回天丸の探索・中盤(謎解き)

(発生条件)それぞれ対抗できる<○属性の力>を得ていること
※五元素の関係は「霊<火<水<地<風<霊」。

解説「<風属性の力>が周囲を押し包み、
   荒々しい息吹で砂塵を巻き上げていく。
   形の崩れた蟻地獄は、やがて薄紗となり、四散するはずだ」

解説「<水属性の力>が大気中の水分を凝縮していく……
   やがて、それは結露となり、滴る雨となり、そして、激流と化す。
   荒々しい水の乱舞が、闇の焔を飲み尽くすまでは、
   それほど時間はかからないだろう」

解説「いずこともなる現れ出た硬質な岩石が、
   堤となり、ヘドロを堰き止める。<地属性の力>である。
   これで水の魔性の進行を防げる」

解説「<五元素のマント>が咆哮すると、
   光の塊とも闇の底とも知れぬ空間が、中空に穿たれる。
   これが<霊属性の力>なのだろうか。
   光と闇とが混合した嵐は、宙の陥穽に吸い込まれていくようだ」

解説「限りなく透明な蒼焔が閑かに次元の陥穽に染みわたると、
   苦悶の叫びが、脳裏に響き渡る。
   霊象の魔物が断末魔の叫びをあげているのだ。
   これが<火属性の力>なのか」

[4]回天丸の探索・後半

(発生条件)魔物の出没地点への対処をすべて終えていること

解説「出没ポイントをおさえたことで、魔の活動が弱まったようだ。
   部屋の中のパニックも沈静化してきている」

以降、魔物の出没がなくなるわけではないが、冒頭よりも出現率は減少。
また、船室への出入りが可能になる。

船長室
矢作「どうやら嵐のせいで思った以上に、浅瀬に寄っていたようだ。
   今は被害状況を調べているところだが、
   蟠竜、高雄の姿も見えぬとなると、作戦も決行できるかどうか」

甲賀「…
   ……
   ………」

矢作「艦長はずっと黙っているが、寡黙な……
   せいばかりではないようだ。そっとしておいてくれ」
海軍奉行の部屋
荒井「上も下も、大変なことになっているようだね。
   漂流者の君まで巻き込んでしまって、すまないね。
   え、私はなにもしないのか、だって?
   うむ、<おぶざばぁ>とは言ってもね、こういう時に
   出て行っても良い顔はされぬのだよ。
   私が出ていくとしたら、この作戦が失敗した時かな。
   願わくば、そんな時など来ねば良いのだがねぇ」
兵士たちの部屋
新撰組隊士I「敵襲なのか、敵襲なのか…!」

新撰組隊士II「こういうのを君の国では<とらまてっく>というのだったか。
       我ら新撰組が散るに相応しき、
       戯曲のような展開じゃあないか」

新撰組隊士III「かつて我が軍の旗艦であった開陽丸もまた、
       嵐による座礁によって、あえなく沈没したんだ」

彰義隊士I「蟠竜、高雄の姿も見えぬと…!?
      ならば、回天丸一艦で甲鉄艦に挑むのみ!
      なに、回天丸も座礁しているだと…!?
      うぬぬ」

彰義隊士II「新政府軍のアームストロング砲ではないのか!?
      なに、座礁…!?
      敵の攻撃であれば知らず、
      海軍は、いったい何隻、艦艇を沈めれば気が済むのだ…!?」

彰義隊士III「そもそも我らは上野の戦で死んでいたのだ。
      死んだ者がなぜ死を恐れねばならぬのか」

神木隊士I「引き返すとしたら、今しかありません。
      私は……死にたくありません」

神木隊士II「函館の冬は、我らが故郷越後の冬に似ている。
      最期に、このような地に流れ着いたのも、運命なのか」
副官たちの部屋
相馬「流水がひどく、船内は大混乱だ。
   土方先生は無事だろうか」

野村「面白くなってきたではないか。
   陰鬱な瘴気に怯えるのは本分ではないが、
   目に見える敵となれば、我ら新撰組の領域だ。
   斬って斬って斬り捨てる。
   我らにそれ以外の方法があるかね」

ニコール「エレイア……」
以前は誰もいなかった船室

最初に船室で出会った若い侍をはじめ、和装の侍たちが何人か。

若い侍「やぁ、君は無事だったんだね。
    回天丸は、どうにもそうではないみたいだけれど」

貫禄ある侍「………」

解説「目を閉じ、精神を統一しているようだ」

知的そうな侍「土方先生は、鬼の副長などと呼ばれたお方で、
       私たち同僚ですら、気軽には話しかけられなかったものです。
       しかし、あの人がいたからこその新撰組であったとも
       言えるでしょう」

陰気な侍「土方先生は、あの人だけは死んではならないのだ」

若い侍「土方さんには……そう、まだ会っていないんだ。
    うん、そうだよね……
    あの人はしっかりしているようで、いつもこうなんだ。
    だから、僕たちはいつまでも……」

部屋から出ると、この場では、彼らにはもう会えない。

[5]土方の部屋に続く船内の一角

(発生条件)船内の人々とすべて会話していること

解説「辺り一帯は、完全に水没しているようだ。
   この先にある土方の部屋は、無事なのだろうか」

水に潜って、先に進んでいく。
水の中では一定時間を経過すると、以下のメッセージが表示されて急激に体力が減っていく(水中で動きが鈍くなっている上、瓦礫などで進みにくくなっているため、無駄なく素早く進むこと)。

解説「息が苦しくなってきた。もうそれほど長くは持たないぞ」

水路の途中まで来ると、梁が落ちて道がふさがっている場所を見つける。

解説「梁が落下したようだ。
   僅かに動くようだが、さすがに持ち上げるのは難しそうだ」

(発生条件)<地属性の力>を持っていること

解説「マントが輝き、身体中に<地属性の力>が漲ってくる」

クリスティ「はっ……!」

解説「腕に力を籠めると、梁が上に持ちあがっていく。
   僅かな隙間ができ、これならばなんとか先に進めそうだ」

ただし、先に述べた水路そのものの長さの制約から途中で息が切れてしまう。
距離的には、水路のスタート地点から梁が落ちている箇所までを往復するのが、おおよそギリギリ。よって、<地属性の力>で梁を取り除いた後、改めて<水属性の力>を得て水路に潜る必要がある。

(発生条件)<水属性の力>を持っていること

解説「<水属性の力>が身体中に沁みわたっていく。
   これならば、水の中でも長いこと息が続くかもしれない」

[6]土方の部屋へ・水路を抜けた先

水路を無事に抜けると、船底に巨大な岩が食い込んでいる地点に差し掛かる。
岩礁は船内の通路を塞いでおり、先に進むことができない。

解説「どうやらこれが、回天丸が乗り上げた岩礁らしい。
   深く船体に食い込んでおり、このままで回天丸は動けそうにない。
   船体を修復しつつ、岩礁を取り除けないだろうか」

以下の順番で<○属性の力>を行使していく*1

(発生条件)<火属性の力>を持っていること

解説「<火属性の力>が船体を押し包み、
   船外の潮を一時的に押し返しているようだ。
   これで一時的に浸水を止められそうだ。
   だが、それほど長くは持ちそうもない。
   早く岩礁を取り除き、穴を塞がねば……!」

ここからタイムアタック。05:00以内に船体の穴をふさぐこと。

(発生条件)<地属性の力>を持っていること

解説「<地属性の力>がクリスティの両腕に更なる力を与える。
   力を籠めると、岩石は砂のように粉々に砕け散った。
   さあ、あとは穴を塞ぐだけだ。
   潮が戻れば、一気に浸水してくるぞ…!」

この時点で05:00経過していると、一気に浸水し、そのままGame Over。

解説「船腹に開いた巨大な穴からは水が噴き上げる。
   回天丸は、もう長くは持たないだろう……」

以降、経過した時間に応じて船内に浸水してくる。水によって行動が鈍くなる、水位が上がった場合には息の持続時間にも影響するので要注意。

なお、これで船内の通路は開くが、実際には以下のメッセージが出て先には進めない。

解説「待て!船体を修復するのが先決だ!」

(発生条件)<風属性の力>を持っていること

解説「<風属性の力>が船腹の穴に絡みつくように、複雑な軌跡を描いた。
   すると、そこだけが時間を巻き戻したかのように、
   みるみる修復されていくではないか。
   やがて船腹は、何事もなかったかのように、元の姿に戻ったのだ」

船体が修復されると、船内の水も引いていく。

[7]土方の部屋前

周辺には魔物の姿も見えず、ひんやりと薄暗い様子は以前のまま。

解説「相変わらずひんやりとした空気が漂った場所だ。
   部屋の中に呼びかけてみるが、やはり返事はなく、
   扉も堅く閉ざされ、開ける気がしない」

(発生条件)<霊属性の力>を持っていること

解説「<霊属性の力>が脳内を突き抜けると共に、
   ひんやりとした瘴気が目の前で実体化していく……」

扉の前に堅く扉を封じた鎖が見えてくる。

(発生条件)<地属性の力>を持つ場合は、以下のメッセージが表示される。

解説「力任せに引きちぎろうとしたが、さすがに無理のようだ」

(発生条件)<火属性の力>を持っていること

解説「<火属性の力>が鎖に集中すると、鎖が燃え落ちていく……」

[8]土方の部屋内部

部屋の奥には、フランス軍服に身を包んだ土方が立っている。

土方「………」

解説「洋装が良く似合う長身の侍だ。
   しかし、その鋭かったであろう双眸はどんよりと濁り、
   手足の動きも傀儡(くぐつ)のようにぎこちない」

土方「オ、オマエ、ダレ、ダレダ……
   コノ、コノセカイノモノ、デハナイ……
   えてぃす……ぺんたうぁ……
   ホロベ、ホロベ、<コントン>ノナノ モトニ……
   ケントマホウノタミヨ、ホロ、ホロ、ホロベ……!」

クリスティ「………!」

土方の体からどす黒い瘴気のようなものが浮き上がり、クリスティに襲い掛かる!
その時、クリスティの脇をすり抜け、瘴気にぶつかる黒い影が。
そのまま瘴気を跳ね返す!

若い侍「そうはいかないよ、妖さんよ!
    鬼の副長と、化け物ってのも、結構お似合いだと思うんだけどね。
    僕の上司が良いように化け物の傀儡になってるってのも
    面白くないよね」

若い侍「さて異人さん、ここでひとつ、悪い話と良い話があるんだけどね。
    聞きたいかい?
    うん、聞きたいだろう。
    まず、悪い知らせは、こいつは大層な化け物だってことだ。
    うん、とても厄介だ」

瘴気は実体を伴い始め、中ボス<ジャイアントクラブ>(水)発生。

若い侍「で、良い知らせは…
    …
    ……
    ………この僕が、君の助っ人に来たということさ。
    あれ、面白くなかったかい?
    う〜ん、君、じつは冗談を通じない人なの?」

若い侍「うん、僕の名かい?
    君は、ずいぶんと細かいことを気にするんだなぁ。
    そうだなぁ、なんでもいいんだけど……
    とりあえず、日野宗次郎にしておこうかな。
    ま、なんでもいいんじゃない?」

日野「さあさあ、魔性がやってくるよ……!
   僕の剣は人相手の剣だけど…うん、なんとかなるよね?
   試衛館塾頭の剣技、とくと御覧じろ、てなもんだ!」

日野が仲間に加わり、戦闘開始!敵詳細は、「喜びの歌」(http://www.web-deli.com/sorcerian/spe4-1.pdf)設定資料を参照のこと。

斃すと水煙があがり、ジャイアントクラブの姿はゆっくりと消えていく……

日野「楽しかったかい?」

以上、クリスティ編(完)

→SS「五稜郭炎上 - 承:函館燃ゆ」(デュエル編)へ

*1:著者註:本イベントについては、いくつかの解決方法があっても良さそうだ。いずれ分岐イベントを補足してみたい