新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

はじまりのゼロ FS 「時飛びし亡国の戦人達」(ストーリー後編)

共同執筆作品(ときのじさん担当)

SORCERIAN for iOSシナリオコンテスト ガッツリ投稿 にて入賞したときのじさん(@)、Salvadorさん、リオ(@)による共著作品です。共著にご賛同&ご協力頂いた皆さま、本当にありがとうございました!

シナリオ No.1〜5 目次
シナリオ SPECIAL No.1〜6(みんなの応募作品)目次

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はじまりのゼロ FS「時飛びし亡国の戦人達」(ストーリー後編)

夢の中

ナレーション
 魔導士(同行者の名前)と共に空間の歪みに飛び込むと、
 再び意識が遠退いてゆく……。

 ※画面暗転。
 ※BGMが「THE CHOICE IS YOURS(ユーティリティ)」に変わり、
  エティスが浮かび上がる(ユーティリティのメインメニューのイメージ)

エティス「儂らは<絆人>と呼ばれる者、
     いや、そう呼んでくれる者も少なくなった今では、
     『呼ばれていた』者かの。
     散逸する<物語の断片>を僅かに記憶と伝承によって繋ぎ止め、
     <混沌>の浸食を防いでおる、滅びゆく世界の徒花よ。

     かつては<絆人>も世界のあちこちを旅しておったものだが、
     このところは、とんとその姿を見かけなくなってしもうた。
     世界と共に<混沌>に呑みこまれたのであろうなぁ…
     今となっては、はたして何人が生き残っておるものか」

 ※エティスとBGMがゆっくりとフェードアウトする。
  完全に消えたところで、
  自動的にシャングリ=ラ城へと転移させられる。

シャングリ=ラ城・一層

 ※画面が元に戻る。

魔導士「ふぅ、無事に着いたようじゃな。
    ん? 小難しい顔をしておるが、大丈夫かのぅ?」

冒険者「は、はい。またエティスさんからの干渉がありまして…」

ナレーション
 空間の歪みに飛び込んだ直後、再びエティスからの干渉があったこと、
 そして<絆人>の話を聞いたことを話した。

魔導士「エティス殿もマメじゃのぅ。
    ああ、そうじゃ。もう解っているとは思うが、
    ワシも、あとの二人も<絆人>じゃよ。
    皆必死になって<物語の断片>を繋ぎ止めようと動いておったがの、
    今では何人の<絆人>が生き残っておるかは、
    ワシらも把握出来ておらぬのじゃ…。
    少なくなったのは、確かだがのぅ…」

冒険者「……」

魔導士「おっと、湿っぽい話をして悪かったのぅ。
    …さてと、既にワシらはシャングリ=ラ城の内部におるが、
    其処彼処は<混沌>に侵食され、
    イリアスンにもその一部が流れ込むほどじゃ。
    この場を流れる『気』は<混沌>に汚染され、
    時間が経てば癒える傷や疲労も、
    此処では永久に癒えることはないじゃろう。
    この老いぼれ、
    お前さんの足手まといにはならぬようにしなければな。
    ふぉふぉふぉ」

冒険者「そんな…私の方こそ△△さん(魔導士の名前)
    にご迷惑を掛けないように努めます」

魔導士「ふふ、互いに気をつけねばな。
    ワシの特殊技能が必要な時は、遠慮なく言っておくれ」

冒険者「解りました。では、カイロスの歯車を注意深く探しましょう」

ナレーション
 魔導士の特殊技能を使用したい時は、
 魔導士に<魔導石>の魔法使用設定をONにすることで
 特殊技能を使うことが出来ます。
 特殊技能を使用しない時は、
 <魔導石>の魔法使用設定をOFFにしてください。

 ※一層〜二層まで、所々に漂っている<混沌>に触れると
  5ダメージほど受けます。

 ※ランダムで配置される瓦礫を調べると、
  <ハーブ(ランダムで一種類)>、<宝石の欠片>、<無傷の宝石>、
  そして低確率(5%)で<竜爪石の欠片>の内のどれかが入手出来る。
  この瓦礫調べは強制ではない為、調べずに進んでも良い。

 ※二階へ進む。

シャングリ=ラ城・二層

 ※ランダムで配置される瓦礫を調べると、<ハーブ(ランダムで一種類)>、<宝石の欠片>、<無傷の宝石>、そして低確率(5%)で<竜爪石の欠片>の内のどれかが入手出来る。この瓦礫調べは強制ではない為、調べずに進んでも良い。

 ※二層に上がってからすぐに魔物の断末魔のSEが鳴る。

冒険者「な、なんだ!?」

魔導士「うっ、酷い臭いじゃの…」

 ※足元に倒れている魔物A(ミノタウロス)の死骸を調べる。

ナレーション
 魔物は既に息絶えている。
 死んで間もないのか、石床に広がる血は固まっていない。

魔導士「ふぅむ、これは一刀のもとに斬り捨てられたようじゃな…。
    見よ、この切り口を。得物も相当切れ味が良いようじゃが、
    この致命傷は迷いのない洗練された剣技が合わさって
    初めて可能となるものじゃ。
    どうやらこの城には、相当の手練がおるようじゃのぅ…」

冒険者「魔物を斬った相手とはいえ、
    これだけの情報じゃあ敵なのか味方なのかも分からないですね。
    油断しないよう、更に気を引き締めないといけないな」

 ※進んだ先にいる倒れた魔物B(ミノタウロス)を調べる。

ナレーション
 魔物は息絶える寸前のようだ。
 口からは血泡を吐き、白目を剥いて全身を痙攣させている。

 ※三階への階段が見える位置まで進んだところで、
  謎の男が三階へと去ってゆく姿を目撃する。

魔導士「あっ、あやつは…!!」

冒険者「△△さん(魔導士の名前)、あの男を知っているんですか!?」

魔導士「あぁ、ワシの見間違えじゃなければ、
    ワシはあの男を知っているよ…知っているとも…。
    あの男であれば、
    倒れ伏した魔物の精確無比な切り口にも合点がいく。
    しかし、何故あの男が此処に…?」

 ※魔物の咆哮のSEが鳴る。

ナレーション
 突然、魔物の咆哮が部屋全体を震わせた!
 地響きのような音を立て、
 外壁に開いた穴から無数の魔物が入り込んでくる!

 ※壁の穴(三箇所)から、ミノタウロスとイビルアイと死霊が
  一斉に襲い掛かってくる。
  魔物は各種類10頭ずつ出現する。
  全て倒すと経験値を入手し、再度魔物が湧くことはない。
  全て倒すと経験値を得る。

ナレーション
 ○○EXPを入手!

冒険者「はぁ…何とか生き延びた…」

魔導士「きっと同属の血の臭いや叫びに反応して襲ってきたのじゃろう…。
    まったく、面倒事を押し付けてくれるわい…」

冒険者「そういえば、混戦の前にあの男について
    何か言い掛けていたようですが…?」

魔導士「いや、これは直接あの男に話を訊いた方が良いじゃろう。
    ワシもあの男が何故此処にいるのか、とんと検討がつかぬのでな…」

冒険者「解りました! あの男を追いましょう!」

 ※三層へ進む。

シャングリ=ラ城・三層

 ※部屋の中央に謎の男が背を向けて立っている。傍らにはオーラの漂う剣が石床に突き立てられている。

 ※謎の男から8歩分離れた距離まで来ると、自動的にイベントが始まる。

謎の男「ほぅ、此処に俺以外の人間が来るとはな」

 ※謎の男が振り向く。

魔導士「!!
    やはりローデシアの将、ガウェイン=ジェレントだったか!!」

ガウェイン「おや、こんな辺鄙な所で奇遇ですな、ザールの魔導士殿。
      あれから十年経った筈ですが、
      相も変わらずご健在で己が目を疑いましたぞ」

魔導士「それはワシとて同じよ。
    お主もあの頃と変わらず美丈夫で妬いてしまうわい」

ガウェイン「それはそれは。
      かのご高名なザールの魔導士殿から賞賛を頂けるとは、
      私も男としてはまだ捨てたものではないということですかな。
      はははっ」

魔導士「…さて、挨拶はこれぐらいにしようかの。
    ワシらもそう時間に余裕がある訳でもないのでな」

ガウェイン「久方振りの再会を喜び合うことが出来ないのは些か残念ですが、
      まぁ、仕方ありませんな。
      顔見知り同士の再会劇など、
      他者にしてみれば退屈な寸劇のようなものでしょうから。
      …それで、ザールの魔導士殿は何の情報をご所望か?」

魔導士「話が早くて助かるのぅ。して、お主は<絆人>か?」

ガウェイン「否。俺はただの<彷徨い人>に過ぎぬ」

冒険者「さまよい、びと…?」

ガウェイン「そうだ。俺は<混沌>に呑まれ、己の意思など微塵も関係なく、
      この<物語の断片>に飛ばされた。
      俺はこれでも既に七回は死に、再生されてきたのだよ。
      この切り離された世界の終わりと始まりに合わせて、な」

魔導士「なんだと…!? だ、だが、何故その事実に気付いたのだ!?」

ガウェイン「五人目の俺が偶然にもこの城に辿り着き、
      この剣に触れたからさ。
      否、正確にはこの剣が宿す英雄王の<魂>
      と言った方がいいだろう。
      この世界の真理といい、脳裏に流れ込む俺の死に様といい、
      最初は何の冗談かと思ったがな。己の正気も疑った。

      だが、王の魂に触れた影響か、俺は死ぬ以前の記憶を
      保持した状態で再構成されるようになったからな、
      再び王の魂に触れた俺は、六人目にしてようやく
      全ては事実であり、真実でもあると悟ったのだ」

魔導士「英雄王……剣……。
    そうか!
    その魂がザナドゥの王クーブラ=カーンであるのならば、
    その剣は…!」

ガウェイン「王殺しの剣<ムラサメブレード>」

魔導士「やはりか…!
    かつて暗黒竜を貫き、だがしかし、行方知れずであった幻の剣…
    まさか此処でお目にかかれるとは、
    ワシも思っておらなんだわ…」

ガウェイン「それは俺とて同じことよ。
      まったく、
      時の流れが行く先には何があるのかなど分からぬものよな。
      遥か昔の伝承にしか登場せぬザナドゥに飛ばされ、
      幾度も死滅と再生を繰り返し、
      行方知れずであった伝説の剣に触れ、そして、
      この世界の真理を知る者とこうして語らいでいるのだからな」

冒険者「そ、それなら…
    それなら共に<物語の断片>を現世に繋ぐ方法を探しませんか!?」

魔導士「お前さん、急に何を…」

冒険者「聞けば貴方の境遇は私に似ている。
    私も自分の意思でこの世界に来た訳ではなく、
    <混沌>に呑みこまれて此処に飛ばされてきたようなものなのです」

ガウェイン「ほう、お前も<彷徨い人>か。
      だが、お前も魔導士殿も
      この世界の真理を知っているようだが?」

魔導士「……ワシと仲間が教えたのじゃよ。
    <物語の断片>の力を解放する為に、
    神が作り賜うた次元を超える装置を使い、御主が生きる時代から
    跳躍してきた、このザールの老いぼれが、な」

ガウェイン「なるほど、道理で」

冒険者「貴方がこの世界に飛ばされ、
    その剣に出会ったのも何か意味があるに違いないんです!
    ですから……」

ガウェイン「フッ…『意味』か。
      そうだな、俺がこの場に立つ『意味』は唯一つ」

 ※ガウェイン、剣を引き抜いて主人公達に向かって突き付ける。

ガウェイン「お前と闘うことだ!!」

冒険者&魔導士「なっ…!?」

ガウェイン「ローデシアの将ガウェイン=ジェレント、推して参る!!」

 ※BGMが専用曲に変わり、ガウェインとの戦闘開始。
 ※特殊攻撃『一閃』:ムラサメブレードを鞘に収めて
  居合い前の状態になると、ガウェインの周囲に結界が張られて
  物理/魔法攻撃が一切効かなくなる。
  その状態から一定時間が経過すると、画面が薄暗くなり、
  圧縮された剣気を放つ『一閃』が発動する。
  『一閃』は上段・中段・下段の高さからランダムに
  5発ほど剣気(衝撃波)剣気が飛んで行く。
  その衝撃波の内の1つが『状態異常:呪い』の効果を持っている。
  (例:上段2発、中段1発、下段1発。その中のどれかが呪い付き)
  『一閃』発動後、ムラサメブレードが再び力を取り戻すまで
  『一閃』は使用出来なくなる。

 ※ガウェインに勝利後、経験値を得る。

ナレーション
 ○○EXPを入手!

 ※画面暗転。
  ガウェインと冒険者が部屋の中央にいる状態で画面が元に戻る。

 ※BGMも元に戻る。ガウェインはムラサメブレードを手放した状態で、
  その場に膝を着いている。

ガウェイン「ぐっ…。一戦交えるまではとんだ甘ちゃんかと思ったが…
      ふふっ、なかなかどうして悪くない…」

冒険者「どうしてですか…? どうしていきなりこんなことを…」
    
魔導士「御主、わざとこちらを嗾けたな?」

ガウェイン「…ザールの魔導士殿には見透かされていたか。
      やはり武人が役者の真似事などするものではないな」

魔導士「やはりそうか…」

冒険者「えっ?」

ガウェイン「<物語の断片>を繋ぐ試みなど、お前に言われるまでもなく、
      六人目と七人目の俺が当に試していたのだよ。
      だが、俺がそれを果たすことが出来なかったのは、
      見ての通りだ。
      王の魂曰く、その役割を果たすのは俺ではないとのことだが…
      ま、そう言われても試してみたくなるのは、
      人の子故の好奇心というものよ」

魔導士「つまり、御主はその剣に…否、
    その魂に選ばれし者を待っておったのじゃな?」

ガウェイン「ああ。有り体に言えばそういうことになるな」

ナレーション
 ガウェインは冒険者の顔をじっと見据えた。

ガウェイン「俺は、お前が此処に来るのを待ち、この世界の…
      否、ペンタウァの命運を託すに相応しい者か否か試したのだ。
      時を飛びし<冒険者>よ」

魔導士「まさか、この者がそうだったとは!?」

冒険者「あ、貴方が出来なかったことを、この私が!?」

ガウェイン「なんだ、ザールの魔導士殿まで素っ頓狂な声を出して。
      薄々は気付いていたのでは?」

魔導士「むうう…確かに常人とは違う気質とは思っておったがな」

ガウェイン「そうか、そうか。
      これが一戦交えた者とそうでない者の違いやもしれぬ。
      俺は直接刃を交え、
      その瞳に宿る闘志を見て確信したのだからな。
      それに、王の魂もまるで旧知の戦友と再会したかのように
      打ち震えていた。力を御するのには少々骨が折れたぞ」

ナレーション
 ガウェインは冒険者にムラサメブレードを差し出した。

ガウェイン「お前達は英雄王の魂に選ばれし者。
      このムラサメブレードを手にするに相応しいのは、
      お前達なのだ。
      さあ、持ってゆけ。そして、英雄王の魂と共に進め!」

 ※ムラサメブレード入手。

ナレーション
 冒険者は、緊張した面持ちで『ムラサメブレード』を受け取った!
 それと同時にクーブラ=カーンの記憶、ザナドゥの記憶、
 ペンタウァの記憶、この世界の記憶が一気に脳裏に流れ込み、
 思わずその場に倒れそうになるが、歯を食いしばって踏み止まる。

魔導士「だ、大丈夫か…!?」

ナレーション
 刀身を鞘から抜き放つと、自然と身体が動き、
 ムラサメブレードを天へと翳す形になった!
 大きく息を吸い込み、脳裏に浮かんだ一節を声高らかに詠唱する!

冒険者「異空を漂いし世界の断片よ、お前はまだ消え去るべき時ではない!
    悪しき竜の力によって封印されし力を、今ここで解放せよ!!」

 ※画面が目映く点滅し、漂っていた霧が吹き飛ぶ。

ナレーション
 ムラサメブレードを再び鞘に収め、二人に向き直った。

冒険者「これで…これで良かったのでしょうか?」

ガウェイン「ああ。よくやってくれたな、感謝する」

魔導士「おぉ…おぉお…<混沌>が消え失せ、世界の息吹を感じる…!
    これこそが、これこそがワシらが望んでいたものじゃ…!!
    ありがとう、ありがとうよ…!!」

冒険者「いえ、私はこの剣が導くがままに己が身を任せただけで、
    私自身は突然流れ込んできた膨大な記憶の数々に
    頭がクラクラしますし、
    私が世界を繋いだという実感があまりなくて」

魔導士「謙遜などしなくてもいいのじゃよ。
    お前さんが命運を託され、<物語の断片>を無から救ったのは、
    紛れもない事実なのじゃからな」

ガウェイン「そうだ。それに顔付きも先程とは見違えるほど良くなった。
      己が持つ力、そして勇敢なる魂に自信を持つといい」

冒険者「そんな…私は皆さんが仰るほど優れた人間では…」

魔導士「何を遠慮しておるのじゃ!
    誰がなんと言おうとも、お前さんは勇敢なる者じゃよ!
    異論は一切認めんぞ!!」

冒険者「あ……ありがとうございます!!」

ガウェイン「ああ、そうだ。ザールの魔導士殿」

魔導士「なんじゃ?
    まさか、まさか、ローデシアの将がこの感動的な場面で
     水を注すなんて無粋な真似をするのではあるまいね?」

ガウェイン「ははは、ご冗談を。
      私はただ、貴方がお探しの物を返し忘れては
      困ると思いましてな」

ナレーション
 不敵な笑みを浮かべたガウェインが懐から取り出して見せたのは、
 まさしく<カイロスの歯車>だった!

魔導士&冒険者「そ、それはーッ!?」

ガウェイン「この城に住み着いた魔物が持っていたのを見付けましてな、
      物珍しさにこうして懐に入れておいたのですよ。
      なにせ、八回目の生で初めて見掛けた物でしたからな、
      はははっ」

魔導士「ううーむ…何か物凄く釈然としないし複雑な心境じゃ…。
    だが、この湧き上がる感謝の気持ちは本物じゃよ。
    ありがとうな、ガウェイン殿」

ガウェイン「いえいえ。ザールの魔導士殿がそうしおらしいと、
      私も些か落ち着きませんでな。
      貴方にはいつまでも御歳の割りに血気盛んな賢人で
      あって欲しいのですよ」

魔導士「何か引っ掛かる物言いじゃが、
    素直に賞賛として受け取っておこうかのぅ」

ナレーション
 二人のやり取りに頬を緩めていると、急に身体が光の粒子に包まれ始めた!
 だが、脳裏に響く声に導かれる<冒険者>の表情は落ち着いていた。
 その表情を見た二人も、これが何であるかを悟って落ち着きを取り戻す。

冒険者「私が<物語の断片>にいる理由、それが今、解りました」

魔導士「……そうか。行ってしまうのじゃな」

冒険者「はい。どうやらこの剣が私を導いてくれるようですから、
    心配はなさらないでください」

 ※以下の魔導士の台詞・貰えるアイテムは、
  連れてきた魔導士によって異なる。

ザムルの場合「ははっ、お前さんのことじゃ。
       ワシは何も心配してはおらぬよ。
       ほら、これを持っていきなさい。お守り代わりじゃよ」

エルフィンの場合「ほっほ、生意気を言うようになったのぅ。
         だが、それでいいのじゃ。
         ほれ、これを持っていくといい。美味いぞ」

グラハンの場合「ごほっ…。まあ、そう言われても少々心配だが、
        お前さんなら大丈夫じゃろう。
        これを渡しておくからのぅ、いざという時に使うのじゃぞ」

 ※ザムルの場合は『新緑のアミュレット』、
  エルフィンの場合は『イリアスンサンド』、
  グラハンの場合は『ザールの秘薬』が貰える。

冒険者「わぁ、ありがとうございます!」

ガウェイン「魔導士殿も存外甘いものだ。
      ……<冒険者>よ、
      お前は使命を課せられたことに後悔はないか?」

冒険者「正直なところ、不安はあります。
    私にこんな大業が成し遂げられるのかどうか。
    ですが、それは後悔などではありません。
    何故ならば、今は不思議と心は穏やかで、
    かつて経験したことがないほどの勇気と使命感に
    満ち溢れているのですから!」

ガウェイン「フッ…やはり良い目をする。もう言葉などいらんな。
      ……往くがいい」

冒険者「はい!!」

 ※画面が真っ白になる。

ナレーション
 冒険者の返事が合図となったかのように、
 光の粒子が辺りを埋め尽くし…そして。

 ※以上、FS終了。

→SS「五稜郭炎上 - 起:旅人彷う」(ゴルカス編)へ