新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

はじまりのゼロ FS 「時飛びし亡国の戦人達」(ストーリー前編)

共同執筆作品(ときのじさん担当)

SORCERIAN for iOSシナリオコンテスト ガッツリ投稿 にて入賞したときのじさん(@)、Salvadorさん、リオ(@)による共著作品です。共著にご賛同&ご協力頂いた皆さま、本当にありがとうございました!

シナリオ No.1〜5 目次
シナリオ SPECIAL No.1〜6(みんなの応募作品)目次

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はじまりのゼロ FS「時飛びし亡国の戦人達」(ストーリー前編)

スタート/城塞都市イリアスン・空き部屋A

 ※ベッドに寝ている冒険者

冒険者「まだ頭は痛むが…そう現実逃避はしていられないな。
    自分の置かれている状況を把握しなくては」

 ※壁に開いた穴を調べる。

冒険者「これはまた派手に開けたな…。一体何があったのだろう?」

 ※壁に開いた穴から魔法教室へ進む。

城塞都市イリアスン・魔法教室

ナレーション
 どうやら隣は教室だったようだ。
 生徒らしき子供達が青い顔をしてざわめいている。

 ※生徒A〜Eに話し掛ける。

生徒A「ジャネット先生、またやっちゃったよ…」

生徒B「し、死ぬかと思った…」

生徒C「今日は魔法反射の授業だったんですけど、
   ジャネット先生の魔法が強すぎて拡散しちゃったんです…」

生徒D「さっきの爆発で飼育していた蛙も飛び出ちゃったし、
   ううっ、どうしよう…」

生徒E「あら、蛙ならルイス先生が魔法でちょちょいのちょいよ。
   心配はいらないわ」

 ※蛙にも一応話し掛けられる。

蛙A「ゲコ」

蛙B「ゲコ ゲコ」

蛙C「ゲココ」

 ※ルイスに話し掛ける。

ルイス「あぁ、冒険者さん、具合はいいのですか?」

冒険者「えぇ、まだ頭は多少痛みますが、出歩いても支障はないですよ。
    …それにしても、教室がすごいことになっていますね」

ルイス「え、えぇ…。お休みのところすみませんね。
    私がジャネット先生の助手として、
    魔法反射を実演をしようとしたんですけど、
    ジャネット先生も気合いが入ってしまったようで…。
    あとはお察しの通りです」

冒険者「な、なるほど…」

 ※ジャネットに話し掛ける。

ジャネット「あら、○○さん達(先頭のキャラの名前)!
      驚かせちゃってごめんなさいねー!
      今日は初めて教え子のルイスと授業をするって思ったら、
      ついつい力み過ぎちゃって。
      空き部屋は…えっと、大穴が開いちゃったから、
      暫くはもう一つ隣の空き部屋を使ってね」

冒険者「あ…は、はい。ありがとうございます。
    とりあえず、今はあちこち散歩したいと思います」

ジャネット「うん、それもいいわね!
      今日はよく晴れているし、心ゆくまで散歩を楽しんできてね」

 ※魔法教室から廊下へ出る。

城塞都市イリアスン・廊下

 ※空き部屋Bの扉の前まで進む。

ナレーション
 空き部屋の前を通ると、何やら話し声が聞こえてきた…。

???A「あいたたた…。こりゃ、エルフィン!
    早く退かんか、重いじゃろう!」

???B「待て待て、そう焦ることはないじゃろう。
    あと、一言余計じゃぞ」

???C「エルフィンもグラハンも何を言い合っておるのじゃ。
    ワシらの使命を忘れてはおるまいな?」

冒険者「…使命? ハッ、もし泥棒だったら大変だ!」

 ※空き部屋Bへ進む。

城塞都市イリアスン・空き部屋B

 ※部屋の中央に魔導士のザムル、グラハン、エルフィンが立っている。

冒険者「そこで何をしているんだ!」

 ※魔導士三人が主人公の方を向く。

???三人「だ、誰じゃ!?」

冒険者「私達は…えーと、通りすがりの冒険者だ!
    もし貴方達が良からぬことを企てているのならば…」

???A「ま、待つのじゃ! ワシらは決して怪しい者ではないぞ!」

冒険者「その証拠はあるのか?」

???C「証拠じゃと? それは…うーむ……
    おっ?」

ナレーション
 老人の一人が何かに気付いたように、
 ○○(先頭のキャラの名前)を指差した。

???C「お前さん、この<世界>の者ではないな?」

冒険者「えっ!?」

???B「おお、確かにそうじゃな。
    お前さんの気配には、この<世界>特有の気を感じないのぅ。
    ワシらと同じように、な」

冒険者「そ、それは一体…うっ!」

ナレーション
 老人達の<世界>という言葉を聞いた直後、頭に鋭い痛みが走った。
 急に視界が暗くなり、意識が遠退いてゆく…。

 ※画面暗転。BGMが「THE CHOICE IS YOURS(ユーティリティ)」に変わり、エティスが浮かび上がる(ユーティリティのメインメニューのイメージ)

エティス「ここは、そう……<物語の断片>と、儂らが呼んでいる土地。
     世界が<混沌>によって散逸した時に、
     僅かに残った<世界の欠片>ともいえよう。

     <混沌>の化身たる暗黒竜にペンタウァが敗れた時、
     世界は綻び、<混沌>――無色彩の霧の中へと呑みこまれた。
     <混沌>は世界を、繋がりの弱い場所から侵食していく。
     繋がりとは、人々の記憶とも言っても良いであろう。
     人々から忘れられた土地は、現世との繋がりを喪い、
     やがて混沌へと無へと還っていくのだ。

     <物語の断片>とは、混沌に呑みこまれ、
     無に帰す前の世界の末期の姿でもあるのだよ……」

 ※エティスとBGMがゆっくりとフェードアウトする。完全に消えたところで、画面が空き部屋Bに戻る。

 ※冒険者はベッドに寝かされていて、近くに三魔導士がいる。

冒険者「う…うーん…。今のは…霧の中にいたエティスさん…?
    夢、だったのだろうか…?」

???C「目が覚めたかの、通りすがりの冒険者や」

冒険者「あ、あれ…私は一体…?」

???B「急に倒れたんじゃよ。
    なに、どこも悪くないようじゃからの、心配はしなくても良いぞ」

???A「そうじゃ、紹介がまだじゃったの。
    ワシらはペンタウァの自治都市ザールの魔導士じゃ。
    ワシの名はグラハン。横の太いのはエルフィンじゃ」

エルフィン「だから一言余計じゃとさっきから…」

???C「こらこら二人とも、そう喧嘩するでない。
    コホンッ。ワシはザムルじゃ。
    皆、泥棒ではないから安心するといい」

冒険者「そ、そうでしたか…。先程は失礼しました…」

ナレーション
 冒険者達も魔導士と名乗る三人に名を名乗った。

冒険者「しかし、またペンタウァという名前が出るとは…。
    それにザールとは…?」

ザムル「あぁ、そうかそうか。
    お前さんはこの<世界>の住人…
    いや、<物語の断片>の一部ではなかったのぅ。
    それならザールを知らぬのは当然じゃて、
    そう気にすることはないさ」

エルフィン「此処で会ったのも何かの縁じゃ。
      ほれ、ワシらに答えられる範囲でお前さんの疑問に答えるぞ」

 ※選択肢が4つ表示され、上から順番に聞いてゆく。

<選択肢:ペンタウァとは?>

ザムル「ふむ、まずはそこからか。
    ペンタウァという名は知っておるようだが、
    お前さんはいつの時代の人間なのかね?」

ナレーション
 自分の時代では、国の名をパウタワとしていること、
 ペンタウァというのは800年前に滅びたとされる
 国の名であること、
 今ではペンタウァという国は実在したのかすらも定かではない
 伝説上の国と言われているということなど、
 とにかく自分に思いつく限りのことを説明した。

ザムル「パウタワ、か。
    そうじゃなぁ…800年もの長い長い時が経てば、
    過去の出来事は伝承となり、その過程で細事は抜け落ち、
    欠損は新たな説で補修されるのも致し方ないのぅ」

冒険者「はい…。私にとってペンタウァは、
    あくまでも寝物語に登場する名前でしたから」

ザムル「ま、それもまた時代の流れというやつじゃな。
    だが、ペンタウァというのは想像上の国ではなことは確かじゃ。
    ペンタウァは剣と魔法の国とも呼ばれ、多くの賢人や剣豪、
    そして勇敢なる<冒険者>が王の下に集い、
    幾多の冒険譚を生み出してきた大国なのじゃよ。
    ワシらもペンタウァでは多少名の知れた魔導士なのじゃが、
    まぁ、その話は長くなるから置いておくとするかのぅ」
    
<選択肢:貴方達は?>

グラハン「ワシらは先程も言ったように、ペンタウァの者じゃよ。
     自治都市ザールもかつては隣国のローデシアと
     派手にドンパチしたもんじゃ。
     …おっと、話が逸れたのぅ。
     つまりじゃな、ワシらは魔法具の力を借りて、
     <物語の断片>と呼ばれる此処にやって来たのじゃよ。
     お前さんからもワシらと同じ『気』を感じるし、
     きっとお前さんも<物語の断片>の一部ではないのじゃろうな」

冒険者「え…それはどういう…?」

<選択肢:物語の断片とは?>

エルフィン「物語の断片か…。これを説明するにはちと骨が折れるが…。
      まず、お前さんに訊きたいことが幾つかある。
      どうやらお前さんはエティス殿と会っているようじゃが、
      お前さんはエティス殿からどこまで話を訊いておるのじゃ?」

ナレーション
 自分の村が<死の霧>に呑み込まれたこと、
 その霧の中でエティスと名乗る老人と出会ったこと、
 そして、先程の夢でエティスが語っていたことを話した。

エルフィン「……なるほど、これは説明の手間が省けたわい。
      お前さんの見た夢というのは、実際は夢ではない。
      エティス殿がお前さんの精神に干渉したのじゃろう。
      分かり易く言えば、テレパシーというやつじゃのぅ」

冒険者「そうなると此処は、<物語の断片>…
    死の霧で滅びる前のペンタウァということに…?」

エルフィン「死の霧…? ああ、<混沌>のことか。
      そうじゃな、そう解釈してもらっても良いじゃろう。
      まぁ、もう少し厳密に言うと<物語の断片>とは、
      お前さんの生きる時代から遡ること800年、
      <混沌>によって現世から切り離され、
      人々から忘れ去られようとしている
      <ペンタウァの一部>のことなのじゃ。
      お前さんの時代ではペンタウァは滅びたことに
      なっておるようじゃが、
      実際は別次元で滅びる直前の生活を延々と繰り返しながら、
      しかし、ゆっくりと確実に
      <混沌>に呑み込まれておるのじゃよ」

冒険者「そんな…」

エルフィン「何故エティス殿がお前さんを此処に導いたのかは解らぬが、
      いずれその意味も見えてくるやもしれんな」

<選択肢:使命とは?>

ザムル「ワシらは<混沌>から逃げ延び、
    <物語の断片>の消失を食い止めておられるエティス殿に代わって、
    時間の神クロノス様と時刻の神カイロス様にご助力を賜らんと、
    二柱の住まう神殿へと向かったのじゃよ。
    そこでワシらは時を超える装置
    <クロノスの歯車>の存在を知ったのじゃ。
    ワシらはすぐさま<クロノスの歯車>を使い、
    <混沌>が発生する以前のペンタウァまで時を遡った。
    そして、ワシらは<混沌>が発生した原因を調査し、
    またペンタウァが<混沌>に呑み込まれる寸前に現世へと戻り…
    そんなことを幾度となく繰り返してきたのじゃ」

冒険者「え…、そうなると貴方達は800年前の人間ということに…。
    もしや、貴方達が言っていた魔法具とは、
    <クロノスの歯車>のことだったのですか?」

ザムル「左様。
    ワシらが<クロノスの歯車>を使って時を行き来していたのは、
    先程の説明の通りじゃよ。
    お前さんにとってワシらが800年前の人間であるように、
    ワシらにとってお前さんは800年後の人間という訳じゃ。
    …さて、話を戻すとするかの。
    ワシらは調査の末に全ての発端が<暗黒竜>にあること、
    そして<混沌>に呑み込まれた<物語の断片>を
    どうにかして再び現世に繋がなければ、
    いずれは無に帰してしまう可能性があるのだと分かったのじゃ。
    だが……」

冒険者「だが?」

ザムル「ワシらは時を超えることは出来たが、<物語の断片>…
    つまり、別次元に行く手段がなかったのだ。
    故に、ワシらはカイロス様のご助力を得て、
    次元を超える装置<カイロスの歯車>を作り上げるに至ったのじゃ」

ナレーション
 ザムルは懐から白銀色に光る手のひらサイズの歯車を取り出して見せた。

ザムル「カイロスの歯車は、カイロス様のご加護により次元を超える。
    しかし、<混沌>の影響もあってか転送の負荷は遥かに大きく、
    制限も多い。
    魔力を持つワシらが力を合わせて、
    ようやっと三人が転移出来る程度。
    しかも、歯車とワシらへの負担を考えれば、
    帰還するのでやっとと言ったところじゃろうな…。
    故にワシらは此処が無に帰す前に、
    何としてでも<物語の断片>を現世に繋ぐ方法を探さねばならぬ。
    失敗は許されぬのじゃよ」

ナレーション
 そう言うとザムルはカイロスの歯車を仕舞った。
 三人の魔導士は神妙な顔付きで俯いている。

冒険者「……あの、私も皆さんに協力させて頂けませんか?」

グラハン「なんじゃと?」

冒険者「私は自分の意思で<物語の断片>に来た訳ではなく、
    そんな私が何を出過ぎたことを…
    と思われるのは仕方のないことです。
    ですが、私がエティス様にご助力を受けたこと、
    そして貴方達の話を訊いて確信しました。
    私が此処に迷い出たことは偶然ではなく、必然であったのだと。
    お願いします、
    微力ながら私にも貴方達の手助けをさせてください…!」

ナレーション
 三人の魔導士は驚いた顔をして互いに顔を見合わせていたが、
 全員が頷くと、笑顔で冒険者達の方を見た。

エルフィン「そうかそうか。それは心強いのぉ。
      なに、ワシらもちょいと心細かったところじゃ、
      意外なところで味方を見付けることが出来て嬉しいのぅ」

グラハン「うむ、まったくじゃな。
     ワシもこの通りゴホッ、少々身体が弱くてのぅ。
     お前さんのように威勢のいい者の協力はありがたい」

ザムル「滅びの時は刻一刻と近付いておるでな、よろしく頼むよ」

冒険者「ありがとうございます!」

ザムル「いやいや、礼を言うのはワシらの方じゃよ。
    それにしても、お前さんの真っ直ぐな目を見ていると、
    昔ワシらを助けてくれたペンタウァの勇者を思い出すのぅ」

冒険者「勇者、ですか?」

ザムル「ああ。もし800年後にも『彼ら』が存在したのであれば、
    お前さんのような者を言うのだろうなぁ」

エルフィン「ザムルよ、お主は少々話が長いぞ。
      話がまとまったら善は急げじゃ」

ザムル「おっと、すまんのぅ」

グラハン「では、まずはこれを渡しておくぞ」

ナレーション
 グラハンから『イリアスン観光ガイド』を貰った!

 ※『イリアスン観光ガイド』入手。

冒険者イリアスン観光ガイドと書いてありますが」

グラハン「うむ、これはイリアスンの市街地が描かれた地図に、
     ワシらが詳細を書き込んだ物じゃ。
     ワシらは三日前から此処に来ていたからのぅ、
     地図は頭の中に入っておるよ。
     だからワシらのことは気にせずに使っておくれ」

冒険者「はい、助かります!」

エルフィン「さてと、これから皆それぞれに別行動で聞き込みをしたり、
      怪しげな場所を調べるとしようか。
      お前さんはそのガイドを頼りに行動して、
      何か情報を掴んだらワシらに教えておくれ」

ザムル「聞き込みや怪しげな場所とは、
    これまたザックリとした指定じゃの…。
    まあ、アレじゃよ。
    世界をどうにかしてしまうほどの力というものは強力が故に、
    周囲に何かしらの影響を与えていることじゃろう。
    どんな些細な情報でも、積極的に共有してゆこうじゃないか」

ナレーション
 そこまで言うと、ザムルがふと真剣な表情をした。

ザムル「……だが、本当にいいのかね?
    ワシらに協力したとしても、
    ワシらはお前さんを元の世界に戻すことは……」

冒険者「それは承知の上です。
    私はこのまま訳も分からず此処にいるよりも、
    不思議な縁で繋がった貴方達と共に
    行動することこそが、己の選ぶべき道だと信じていますから。
    それでは、また後ほど!」

 ※入り口から出て行く冒険者。

ザムル「……強いのぉ」

エルフィン「あぁ、あの意志強き瞳は本物じゃ…」

グラハン「もし800年後にも『彼ら』が現存していたとすれば、
     きっとあの者のことを指すのじゃろうなぁ…」

三魔導士「天の神々よ、勇敢なる者に救いの道を与え給え…」

 ※画面がガイドの地図に切り替わる。

ナレーション
 ここからは、ガイドの地図から行きたい場所を選択して
 移動する形式に切り替わります。
 各場所の入り口に戻ると自動的に地図が表示されますので、
 行きたい場所を選択して移動してください。
 現時点で移動可能な場所は、『魔法教室』『空き部屋A』
 『空き部屋B』『公園』『クリフの家』『食堂・ジュネシス』です。
 冒険者のアイコンはプレイヤーの現在位置を示し、三魔導士のアイコンは
 ザムル、エルフィン、グラハンそれぞれの現在位置を示しています。

 ※入り口から出ると地図が表示され、自由行動を取れるようになる。

 ※フラグさえ回収すれば、情報収集の順番は関係ない。
  フラグを5つ回収すると、ザムルがいる地下洞窟に行けるようになる。

 ※ザムルはフラグを5つ回収するまでは、ランダムに色んなところへ
  移動する。移動タイミングは、ソーサリアンがMAP移動をする
  タイミングと同じ。

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