新時代のソーサリアンを提案する

30周年を越えたソーサリアンの夢と妄想を語り続ける

はじまりのゼロ FS 「時飛びし亡国の戦人達」(冒険の書)

共同執筆作品(ときのじさん担当)

SORCERIAN for iOSシナリオコンテスト ガッツリ投稿 にて入賞したときのじさん(@)、Salvadorさん、リオ(@)による共著作品です。共著にご賛同&ご協力頂いた皆さま、本当にありがとうございました!

シナリオ No.1〜5 目次
シナリオ SPECIAL No.1〜6(みんなの応募作品)目次

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はじまりのゼロ FS「時飛びし亡国の戦人達」(冒険の書&シナリオデータ)

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プロローグ

 死の霧の中で謎の老人エティスと出会った「私」は、濃霧を抜けた先に大都市を見た。しかし、宙に浮く私は突然の落雷に意識を失ってしまったのである。

 今度こそ死を覚悟した私であったが、だがしかし、私は死んでなどいなかった。目を覚ました私の視界に映ったのが、今まさに私の顔に落下しようとしている大蛙の白き腹だったからだ。

 話題休閑。
 此処は城塞都市「イリアスン」。国防の要であり、武器や魔法の教育が盛んな都市らしい。私には耳慣れない名であったが、この都市の修養所前に倒れていた私を救ってくれた人々がそう言うのだから、此処はイリアスンという都市なのだろう。

 修養所の空き部屋にあるベッドに寝かされた私は、落ち着きを取り戻しつつある頭の中で更に考えを巡らせる。この修養所の人々の話では、イリアスンとは「ペンタウァ」の都市であると言う。しかし、ペンタウァとは800年前に滅びたとされる、実在したかどうかも定かではない国の名であり、その名を忌む人々は誰しもが「パウタワ」と呼んでいた筈であった。

 又、パウタワの人々は常に死の恐怖にも怯えていた筈だ。それにも拘らず、部屋の外から聞こえてくる子供達の声や、窓から差し込む暖かい陽光、そして私を介抱してくれた教師や青年の表情にすら、死の霧という絶望の陰はない。まさに平和そのものだ。

 一体全体、どうなっているんだろうか。それとも、私の記憶がおかしいのだろうか。再び混乱し出す思考に頭が痛む。もういっそのこと、このまま毛布を被って寝てしまおうか。そうすれば、私はいつものように自分の部屋で目を覚ますのだ。

 これはきっと夢なのだろうと私は毛布を被り、静かに目を閉じる。
 さぁ、もう夢は終わりだ! さらばペンタウァ!

 思考を放棄し、夢の世界に終わりを告げる私であったが、その安らかな心を揺るがすほどの轟音と衝撃が私を襲った。私はガバリと勢いよく毛布を捲り上げ、周囲を見回す。

 そこで私の目に飛び込んできたのは、壁に開いた大穴と瓦礫の山、そして――やはり大蛙の白い腹であった。

 夢なのに、夢じゃなかった……。

冒険の目的

 伝承上は800年前に滅びたとされるペンタウァ。「私」は確かに其処にいた。
 城塞都市イリアスンの修養所で目を覚ました「私」は、何故自分が亡国ペンタウァにいるのかを解明せねばならない。「私」は今の状況と死の霧との関連性を追うことにした。
 ※このクエストは3人限定です。
 ※シナリオレベルはシナリオの複雑さから言えば1ですが、道中の敵・ボスの強さから言うと2〜3かもしれません。
 ※プレイ時間は30分〜1時間くらいが目安です。

題材となったシナリオ

  • 脱出(執筆者:リオさん)
  • 時の封土(執筆者:リオさん)
  • 喜びの歌(執筆者:Salvadorさん)
  • クロノスの歯車(執筆者:えくすたあさん)

本シナリオのポイント(という名の反省)

 今作は、はじまりのゼロ企画に参加しているメンバーのシナリオをシャッフルして、そのシナリオの設定を使ったシナリオを一本書き上げるという、初めて経験する方法で書き上げたシナリオです。
 以前自分で書いたシナリオは抜きにしての構成だったので、題材となるシナリオには決められた設定があるのにも拘わらず、執筆にはなかなか苦労しましたね。

 今回は『ストーリー』と『お手軽さ』に重点を置いていたので、移動も選択式にして、ストーリーに集中出来るようにしています。……と書くとまるで狙ってそういう仕様にしたかのように思えますが、実際は『執筆していたら自然とそうなった』と書いた方が正しいでしょう。行き当たりばったりですね(笑)

 今作の独特な執筆方法により、執筆者の独自設定がバラバラであってもそれはご愛嬌ということでしたので、かなり好き勝手やってしまいましたが、皆様が作り上げた魅力ある舞台や、お気に入りのキャラクター達をお借りして描くシナリオは、とても緊張しましたが、それと同時にとても良い経験になりました。

 私なりの解釈を交えた『脱出』『時の封土』『喜びの歌』『クロノスの歯車』の要素を、『はじまりのゼロ』のストーリーと共に楽しんで頂ければ幸いでございます。

舞台

 ※専用シナリオシート参照

☆城塞都市イリアスン(喜びの歌より)
☆シャングリ=ラ城(時の封土より)

登場人物

 ※主要人物のみ。専用シナリオシート参照

ザムル(NPC 脱出より。自治都市ザールの魔導士。以前掛かった呪いの影響で、未だに迷い癖が抜け切らないらしい。
エルフィンNPC 脱出より。ペンタウァの自治都市ザールの魔導士。以前掛かった呪いの影響で、ついつい食い気に走ってしまうことが多い。
グラハン(NPC 自治都市ザールの魔導士。生まれつき虚弱体質なのだが、気持ちは元気でしっかり者。
ルイス 喜びの歌より。10年前は蛙を操って遊ぶのが好きな大人しい少年だったが、今では修養所の教師兼ジャネットの助手として働いている。
ジャネット 喜びの歌より。かつては魔女っこだった修養所の女教師。そそっかしいのは相変わらずだが、愛嬌があって多くの人に慕われている。
ガウェイン=ジェレント(ボス) 脱出より。ペンタウァのローデシア辺境地区司令官。剣の達人であり冷静な人物だが、軽い冗談を言う一面も。

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